介護福祉分野における「アセスメント」とは、ご高齢者のニーズ(解決すべき生活課題)や可能性を把握するために、さまざまな情報を収集・分析することです。今回は、アセスメントの際のポイントや、ケアプランや介護計画書を作成する元となる「アセスメントシート」の役割や記入例についてお伝えします。
アセスメントする時のポイント

アセスメントの基本マナー
ご本人やご家族と信頼関係を築くためには、常識的なマナーを心得た上で柔軟に対応する力が求められます。
居宅訪問時の基本マナー
・お客様に不快感を与えない身だしなみ、丁寧な挨拶や言葉遣いを心がける
コートなどは玄関に入る前に脱いでおき、傘がある場合は玄関の外に置く
靴は前向きのまま脱いだあと、相手にお尻を向けないようにしながら膝をついて座り、
つま先の向きを変えて片隅に寄せておく
・名刺は基本的に両手で持ち、名前を名乗りながら相手の胸の高さに差し出す
部屋に通されたら「下座」に座り、座布団は勧められてから使う
・お茶やお菓子を勧められたら、(角が立たないように言葉を選びながら)基本的に断る
帰るときは、片隅に寄せておいた靴を履きやすい位置に戻してから履く
アセスメントの時間
・お客様の都合の良い時間帯を、あらかじめ確認してから訪問する
・アセスメントにかける時間は、お客様の負担にならないようにする
アセスメントのポイント
・訪問する前に、ご家族や他職種、他機関(地域包括支援センターなど)からの情報を集めておく
・お客様のペースに合わせながら、「共に考える」という姿勢で対応する
・お客様の状況をできるだけ具体的に聴き、あらゆる角度から分析する
アセスメントシートの役割

アセスメント(事前評価・課題分析)は、ご高齢者の生活状況や心身状態、ご要望などを把握するために欠かせない重要な過程です。
アセスメントシートは様々な様式があり、ケアプラン(居宅サービス計画)の作成にあたるケアマネジャー(介護支援専門員)の他、実際に介護サービスを提供する介護事業所でも利用します。
必要な情報をもれなく収集できるアセスメントシートは、総合的な援助方針や適切な目標の設定に役立つ情報ツールです。また、ご高齢者の情報をご本人やご家族、他職種などと共有するツールとしての役割もあります。
アセスメントシートには、居宅サービス(デイサービスやショートステイ、訪問介護等)に適しているもの、施設サービス(有料老人ホーム、老人保健施設、特別養護老人ホーム等)に適しているものなどがあり、それぞれにメリットがあります。提供するサービスやニーズ(解決すべき生活課題)に適した様式を利用しましょう。
※都道府県によっては、アセスメントシートの様式を指定している場合があるため注意が必要です。
なお、アセスメントシートは厚生労働省が指定する課題分析標準項目(23項目)を満たしていれば、介護者ご自身が作成することもできます。代表的な様式以外にチェックしたい項目があるような場合は、ご自身で作成するのも良いでしょう。
課題分析標準23項目と主な内容例は下記の通りです。
1 基本情報―氏名や性別、住所、電話番号など利用者の基本的な情報
2 生活状況―利用者の現在の生活状況や生活歴
3 利用者の被保険者情報―利用者の介護保険などの被保険者情報
4 現在利用している介護サービス等の状況
5 障害高齢者の日常生活自立度―ランクJ〜Cの日常生活自立度(寝たきり度)
6 認知症高齢者日常生活自立度―自立ランクⅠ〜Mの認知症の方の日常生活自立度
7 主訴(利用者やご家族の主な希望、要望)
8 認定情報―利用者の要介護度区分など認定結果の情報
9 課題分析(アセスメント)理由
10 健康状態―利用者の健康状態について記載
11 ADL(日常生活動作)に関する項目
12 IADL(手段的日常生活動作)に関する項目
13 認知―認知能力の程度に関する項目
14 コミュニケーション能力
15 社会との関わり―社会との関わりに関する項目
16 排尿・排便―排泄の頻度、ポータブルトイレ、おむつなどの使用状況の項目
17 褥瘡・皮膚の問題―褥瘡(じょくそう)、皮膚の清潔状況などの項目
18 口腔衛生―歯や口腔内の状態、衛生に関する項目
19 食事摂取―栄養、食事回数、水分量などに関する項目
20 問題行動―暴言暴行、徘徊(はいかい)などの行動に関する項目
21 介護力―介護者の有無や介護意思などの介護力に関する項目
22 居住環境―利用者の居住環境、住宅改修の必要性についての記載
23 特別な状況―介護者による虐待や終末期ケア(ターミナルケア)に関する項目
介護老人保健施設で介護職員として10年以上勤めました。
介護支援専門員の資格を取得し勤務を続けています。
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