ケアマネジャー(介護支援専門員)は「介護保険の要」とも言われ、介護が必要な方やそのご家族と介護保険サービスをつなぐ役割を担っています。ケアマネジャーになるためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。今回は、ケアマネジャーになりたい方へ向けて、受験資格や試験内容、勉強法などについてまとめます。
※ケアマネジャーの呼び方について
話し言葉としては「care manager」のカタカナ表示「ケアマネージャー」ですが、書き言葉では「ケアマネジャー」が正しい書き方です。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の受験資格

ケアマネジャーになるためには、まず「ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)」を受験しなければなりません。
ケアマネジャーの受験資格は以下の通りです。
(1) 国家資格(※)に基づく業務に通算5年以上かつ900日以上従事した方
(2) 施設等での相談援助業務に通算5年以上かつ900日以上従事した方
※1 国家資格:医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、義肢装具士、言語聴覚士、歯科衛生士、視能訓練士、柔道整復師、精神保健福祉士、栄養士、管理栄養士
ケアマネジャー(介護支援専門員)になるまでの道のり

都道府県により申込先、申込日は異なります。
試験は毎年1回行われます。試験問題や試験日程は全国共通です。
なお、第26回試験は2023(令和5)年10月8日に実施されました。
実務研修(計87時間以上)をすべて修了します。
研修終了後、3か月以内に介護支援専門員資格登録簿への登録を申請し、「介護支援専門員証」を取得します。※登録申請は住民票の登録地または勤務先の都道府県へ行います。
なお、「介護支援専門員証」の有効期間は5年です。有効期間を更新するには、事前に必要な研修を受講し、更新申請を行うことが必要です。
ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の概要

出題方式
五肢複択方式(5つの選択肢から正しいものを2つまたは3つを選ぶ方式)
解答はマークシート方式
試験時間
120分(点字受験者は1.5倍の180分、弱視等受験者は1.3倍の156分)
問題数
60問(介護支援分野25問、保健医療福祉サービス分野35問)
出題分野
区分 | 問題数 | |
介護支援分野 | 介護保険制度の基礎知識 | 25問 |
要介護認定等の基礎知識 | ||
居宅・施設サービス計画の基礎知識等 | ||
保健医療福祉サービス分野 | 保健医療サービスの知識等 | 20問 |
福祉サービスの知識等 | 15問 | |
合計 | 60問 |
合格ラインは、「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野(保健医療サービスの知識等と福祉サービスの知識等の合計)」の区分ごとに、正答率70%を基準として、問題の難易度で合格基準点が補正されます。
過去5年間の受験者数と合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
第22回(2019年度) | 41,049 人 | 8,018 人 | 19.5 % |
第23回(2020年度) | 46,415 人 | 28,200 人 | 17.7 % |
第24回(2021年度) | 54,290 人 | 12,662 人 | 23.3 % |
第25回(2022年度) | 54,406 人 | 10,328 人 | 19.0 % |
第26回(2023年度) | 56,494 人 | 11,844 人 | 21.0 % |
▼関連リンク
厚生労働省 第26回 介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター
ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の勉強法

ケアマネジャー試験の出題内容は、介護保険法をはじめとする法律や、ご高齢者のさまざまな病気などの医学知識が中心です。勉強すべき範囲は広く細かいですが、試験に出る部分は限られています。したがって、ケアマネジャー試験の過去問題から出題傾向を把握して学習することが合格への近道となるでしょう。
また、法改正などによって変更があった内容は、その後の試験で出題されやすい傾向にあります。改正された背景や状況、そして、改正したことで変わったサービスや給付などをきちんとおさえて、正確に理解するようにしましょう。
解答免除の廃止や受験資格の縮小化などのため、ケアマネジャーの受験資格は厳しくなっています。しかし、それはこれから高齢化のピークを迎える日本を支える専門職としての期待の表れでもあります。ぜひケアマネジャーの仕事への誇りと期待をもって、試験にチャレンジしていただきたいと思います。
▼関連リンク
一般社団法人 日本介護支援専門員協会
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。
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