介護職員への慰労金の支給・新型コロナウイルス感染症対策支援

2020(令和2)年度の国の補正予算において「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)」が創設されました。この事業は、介護職員の方への慰労金の支給や感染症対策支援、介護サービス再開に向けた支援を行うものです。今回は、新型コロナウイルス緊急包括支援事業(介護分)について解説します。

支援事業の概要

支援事業の概要

介護サービスは、ご高齢の方やその家族の生活を支え、健康を維持する上で欠かせないものです。ご高齢者が新型コロナウイルスに感染した場合は重症化するリスクが高いことから、今後も最大限の対策を行いながら、必要な介護サービスを提供し続ける必要があります。

そこで国は、介護サービス事業所や施設などに勤務する職員に、5万~20万円の慰労金を給付することを決定しました。 また、都道府県衛生用品の備蓄支援等を行い、介護サービス事業所・施設等に対しては、感染症対策を徹底した上でのサービス提供やサービス再開への支援などを導入することになりました。


事業の実施主体

都道府県が実施主体となっています。

支援事業の内容

支援事業の内容
  • ● 職員への慰労金の支給
    ● 介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援
    ● 介護サービス再開に向けた支援
    (1)在宅サービス事業所による利用者への再開支援への助成
    (2)在宅サービス事業所における環境整備への助成

職員への慰労金の支給

介護サービス事業所・施設等に勤務する職員に慰労金が支給されます。


対象者

対象期間に介護サービス事業所・施設通算10日以上勤務し、利用者と接する職員

※ 1日あたりの勤務時間は問われません。
※ 派遣労働者や業務委託受託者の従事者も、要件を満たせば対象となります。
※ 複数の事業所で勤務した場合は合算して計算します。
「利用者と接する」には、身体的接触だけではなく、対面する・会話する・同じ空間で作業するなどの場合も含まれます。


支援額

・感染者が発生または濃厚接触者に対応した事業所に勤務し利用者と接する職員  20万円
・その他の事業所で勤務し利用者と接する職員  5万円



介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援

感染症対策を徹底した上での介護サービスを提供するために必要な経費の支援です。


支援対象経費

感染症対策に必要な物品の購入、外部専門家等による研修などのためのかかり増し費用


対象事業所

2020(令和2)年4月1日以降、感染症対策を徹底した上で、サービスを提供するために必要なかかり増し費用が発生したすべての介護サービス事業所(訪問系サービス事業所・通所系サービス事業所・短期入所系サービス事業所・多機能型サービス事業所)および介護施設など

※ 利用者または職員に感染者が発生しているか否かは問われません。


助成上限額

サービス類型毎に設定されています。
(例)
通所介護(通常規模型)89.2万円
訪問介護       53.4万円
特別養護老人ホーム  3.8万円×定員数



介護サービス再開に向けた支援

介護サービスの利用再開に向けた、利用者への働きかけや環境整備などの支援です。

(1)在宅サービス事業所による利用者への再開支援への助成


対象事業所
2020(令和2)年4月1日以降、サービス利用休止中の利用者への利用再開のための支援を行った在宅サービス事業所

助成額
1利用者あたり1,500円~6,000円


(2)在宅サービス事業所における環境整備への助成


対象事業所
2020(令和2)年4月1日以降、感染症防止のための環境整備を行った在宅サービス事業所

支援対象経費
「3つの密」を避けてサービス提供を行うために必要な環境整備に要するものの購入費用など
(例)長机、飛沫防止パネル、換気設備、自転車、タブレットなどのICT機器、内装改修費など

助成上限額
20万円

慰労金の申請・ 受給までの流れ

慰労金の申請・ 受給までの流れ

慰労金の申請受付は、2020(令和2)年7月から開始しています。
慰労金の支給は、原則として事業所経由(退職された方も含む)となります。

① 勤務先への「委任状」提出

受給を希望する職員が、現在の勤務先または最後に勤務していた勤務先に相談し、「委任状」を提出します。

※ 勤務先を通じた申請が困難な場合(事業所が廃業しているなど)は、都道府県に直接申請することができます


② 事業所・施設による交付申請

事業所・施設が対象となる職員を特定した上で、慰労金の代理申請・受領の「委任状」を徴収します。
交付申請書を作成し、各都道府県の国保連(国民健康保険団体連合会)に交付申請を行います。

※ 国保連による申請受付は、2021(令和3)年2月末までとなります。都道府県による申請受付の期間や最終受付締め切りについては、各都道府県のホームページ等でご確認ください。


③ 対象職員への給付

都道府県が申請内容を確認し、各都道府県の国保連から慰労金が交付され、対象となる職員へ給付されます。
※ 慰労金は非課税所得となります。

詳しい情報、最新の情報については、厚生労働省や各自治体のホームページにてご確認ください。また、国費による慰労金のほかに、自治体などが独自の支援を行っている場合もありますので確認してみましょう。

▼関連リンク
厚生労働省「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」について


医療障がい福祉に従事される方への新型コロナ緊急包括支援については、こちらをご確認ください。
厚生労働省「医療・介護・障害福祉に従事される方々への新型コロナ緊急包括支援交付金関連情報」



ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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