ご高齢者の低栄養を防ぐために活用したい「食事バランスガイド」

1日に「どれだけ」食べたらよいか

5つの料理グループは、上から十分な摂取が望まれる順に配置されています。「コマ」の上に位置するグループほど面積が大きく、多く食べる必要があることが示されています。

「どれだけ」食べたらよいかの量は、1つ(SV)、2つ(SV)と「つ(SV)」の単位で数えます。「SV」とは、サービング(食事の提供量)の略です。
「1つ(SV)」の目安は料理グループごとに決められており、それぞれのグループごとに数えていきます。



「つ」の数え方の基本

見た目の量と主に使われている食材で判断します。

「主食」の場合、おにぎり1個が「1つ」の基準です。お茶わんに入った中盛りごはん1杯は「1.5つ」となります。大盛りごはん1杯や、めん類(ラーメン・パスタ・うどん・そばなど)1人前は「2つ」くらいと数えます。

カレーライスのように1品でさまざまな食材がとれる料理は、「主食」「副菜」「主菜」に分けて数えます。カレーライスに「ごはん」「野菜」「お肉」が入っている場合は、

「ごはん」大盛り1杯くらいなら →「主食2つ(SV)」
「野菜」小鉢1皿分くらいなら →「副菜1つ(SV)」
「お肉」は普通の肉料理の1/3くらいなら →「主菜1つ(SV)」

となります。

「つ(SV)」の数え方については、農林水産省の「SV早見表」を参考にしてください。



エネルギー量・食事量の目安

1日に必要なエネルギー量・食事量の目安は、年齢や性別、身体活動量などによって異なります。


1日に必要なエネルギー量・食事量の目安

出典:農林水産省「シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド」




ご高齢者の場合

下の表は、ご高齢者世代の多くの方が該当する1日に必要なエネルギー量が1,400~2,000kcalの方の食事の適量を示したものです。


1日に必要なエネルギー量が1,400~2,000 kcalの方の場合

1日に必要な食事量エネルギー量の目安

出典:農林水産省「シニア世代の健康な生活をサポート 食事バランスガイド」


※「食事バランスガイド」は、原則として健康な方を対象に作成されたものです。持病のある方や食事指導を受けている方は、医師や管理栄養士などに相談してください。



例として、「あずみ苑」の昼食(一例)の食事量を見てみましょう。


あずみ苑の昼食

【献立】※1日1,600kcalの献立の昼食です。
・主食:ごはん(150g)
・副菜:ほうれん草のバター炒め、大根のなます、茄子の浅漬け、コンソメスープ
・主菜:タラ(60g)のムニエル(トマト、サラダ菜、レモン添え)

「食事バランスガイド」でみると、
・ごはん150g → 「主食 2つ(SV)」
・ほうれん草のバター炒め、大根のなます、茄子の浅漬け、コンソメスープ → 「副菜 3つ(SV)」
・タラのムニエル → 「主菜 2つ(SV)」
・「牛乳・乳製品 0つ(SV)」
・「果物 0つ(SV)」

この日の昼食の献立では、牛乳・乳製品、果物が0つ(SV)なので、朝食やおやつ、夕食で
・牛乳1杯(180ml) →「牛乳・乳製品 2つ(SV))」
・みかん1個 → 「果物 1つ(SV)」
・りんご1/2個  → 「果物 1つ(SV)」

などを食べると、理想的な1日の食事量が摂れることになります。

ご高齢者の食生活のポイントと注意点

ご高齢者の食生活のポイントと注意点

・食事はよく噛んで、ゆっくり食べるようにしましょう。
・不足しがちなカルシウムは毎日積極的にとりましょう。
・こまめな水分補給も心がけ、脱水や便秘を防ぎましょう。
・お菓子や嗜好飲料は、1日200kcal以内を目安にしましょう。
・だしや薬味、酢などを上手に利用するなどの工夫をして、塩分をとりすぎないようにしましょう。

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食が細い方や、食欲がないときは、少しずつでも多くの食材をとるようにしましょう。体調がよければ、散歩などの軽い運動をしてみるとよいでしょう。また、ご家族やお仲間と食卓を囲むと、よりおいしく食事を楽しめるでしょう。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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