高額な医療・介護費用の軽減策「高額介護合算療養費制度」

介護を必要とするご高齢者は、介護保険サービスを利用しながら医療機関で治療を受けている場合が多く、介護保険と医療保険の自己負担を合わせると高額になることがあります。
「高額介護合算療養費制度」とは、同一世帯において1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担合算額が著しく高額になった場合に負担を軽減する制度です。
今回は「高額介護合算療養費制度」の概要や利用方法について、わかりやすく解説します。

「高額介護合算療養費制度」とは

「高額介護合算療養費制度」とは

そもそも、医療保険には「高額療養費」、介護保険には「高額介護サービス費」といった、1カ月の自己負担額が高額になった場合に、それぞれ限度額を超えた分があとから払い戻される制度があります。

2008年(平成20年)からは、それに加えて医療と介護の両方を利用している世帯の負担を軽減する「高額介護合算療養費制度」が利用できるようになりました。
これにより、世帯内の同一の医療保険に加入している方について、1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額を合計し、基準額を超えた場合に、その超えた金額の払い戻しを受けることができるようになりました。

「高額介護合算療養費制度」の限度額

「高額介護合算療養費制度」の限度額

「高額介護合算療養費制度」の限度額は、世代間の公平や負担能力に応じた負担等の観点から、被保険者の所得や年齢に応じて設定されています。

「高額介護合算療養費制度」の限度額は、世代間の公平や負担能力に応じた負担等の観点から、被保険者の所得や年齢に応じて設定されています。

「高額介護合算療養費制度」は、2018年(平成30年)8月から、現役並みの所得者については現役世代と同様に、細分化した上で限度額が引き上げられ、一般区分については、これまでと同額に据え置かれることとなりました。

1年間の自己負担限度額

〈2018年(平成30年)8月〜〉

1年間の自己負担限度額

(注1) 収入の合計額が520万円未満(1人世帯の場合は383万円未満)の場合及び旧ただし書所得の合計額が210万円以下の場合も含む。
(注2) 対象世帯に70~74歳と70歳未満が混在する場合、まず70~74歳の自己負担合算額に限度額を適用した後、残る負担額と70歳未満の自己負担合算額を合わせた額に限度額を適用する。
(注3) 介護サービス利用者が世帯内に複数いる場合は31万円。

出典:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(概要)」


対象となる自己負担

医療保険を利用している世帯に介護保険の受給者がいる場合に、「高額療養費」の算定対象となる世帯単位で、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間の医療費と介護サービス費の自己負担の合算額から、上の表の自己負担限度額を引いた額が支給されます。

対象外となるもの

※もととなる「高額療養費制度」や「高額介護サービス制度」の対象外となるものは、「高額介護合算療養費制度」の対象外となります。

・「高額療養費」や「高額介護サービス費」などの支給を受けることができる場合は、その額を除きます。
・医療保険・介護保険の自己負担額のいずれかが0円の場合は支給されません。
・支給対象額が500円以下の場合は支給されません。(その超えた金額が501円以上の場合に限ります。)
・保険適用外の治療費、入院時の食費負担、差額ベッド代などは対象となりません。
・70歳未満の方の医療保険の自己負担額は、1カ月の医療機関ごと(入院・外来・歯科)の負担額が21,000円未満の場合は合算対象になりません。
・同一世帯であっても、異なる医療保険に加入している方の分は合算できません。

詳しくは、加入している医療保険、または介護保険の窓口にお問い合わせください。

「高額介護合算療養費制度」を利用するには

「高額介護合算療養費制度」を利用するには

「高額介護合算療養費制度」を利用するためには申請が必要です。

基本的な手続きの流れ

① 支給の対象となる可能性が高い方は、介護保険者(市区町村)「支給申請書 兼 自己負担額証明書交付申請書」を提出します。

② 申請を受け付けた介護保険者(市区町村)から「介護自己負担額証明書」が交付されます。

医療保険者(健康保険組合など)に、「支給申請書」に「介護自己負担額証明書」を添付して提出し、支給申請を行います。

④ 医療保険者(健康保険組合など)が支給額を計算し、介護保険者(市区町村)に支給額を連絡します。

⑤ 医療保険分と介護保険分に按分され、医療保険者からは「高額介護合算療養費」として、介護保険者からは「高額医療合算介護サービス費」として、別々に支給されます。


厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」

出典:厚生労働省「高額介護合算療養費制度について」


詳しくは、加入している医療保険、または介護保険の窓口にお問い合わせください。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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