ご家族や地域で見守る!ご高齢者をねらう詐欺の手口と対策

ご高齢者をねらった詐欺は依然として増え続けており、その手口もご本人だけでは防ぎきれないほど巧妙化しています。ご高齢者の詐欺被害を防ぐためには、ご家族や地域の方の見守りも必要です。今回は、被害が絶えない詐欺の事例や報告されている件数、未然に防ぐポイントについてお伝えします。

詐欺被害の実態

詐欺被害の実態

ご高齢者をねらう詐欺の事例

近年、ご高齢の方が「特殊詐欺」に遭うケースが増えています。特殊詐欺とは、不特定の方に対して電話やメールなどを使い、対面することなく行う詐欺のことです。
特殊詐欺は、オレオレ詐欺などの「振り込め詐欺」と金融商品等取引などの「振り込め類似詐欺」の2種類に分けられています。

特殊詐欺の認知件数

振り込め詐欺

※近年は、振り込みを求めるだけでなく、現金を手渡しさせる手口が増えたことから、警視庁が実態に合う新名称を公募し、2013年(平成25年)に「母さん助けて詐欺」「ニセ電話詐欺」「親心利用詐欺」の3点が発表されました。

・オレオレ詐欺

子どもや孫のふりをした犯人からご自宅に電話がかかってきて、指定の口座にお金を振り込ませる、会社の同僚等を名乗る犯人に現金やキャッシュカードを手渡すように言うなどの手口です。
犯人は迫真の演技で「電車の中にカバンを忘れた」「会社のお金が入ったカバンを盗まれた」「今すぐに支払わないと会社をクビになる」などの理由をつけます。
また、鉄道会社の落とし物係や警察官、弁護士等になりすました複数の犯人から電話がかかってくる「劇場型」の手口にも注意が必要です。警察官等を名乗って「息子さんが痴漢をして捕まった」「事故に遭った」などと緊急事態を装い、被害者をパニック状態に陥れてお金をだまし取ろうとします。

・架空請求詐欺(支払え詐欺)

携帯電話やスマートフォンに「サイトの料金が未納です」「このままでは裁判になります」のような内容のメールが届きます。不安になってメールに記載された電話番号に電話をかけると、「裁判を取り下げるため」などと言ってお金をだまし取る手口です。
お金を口座に振り込んでも、「入金が確認できない」と言って何回も請求してくることがあります。また、「コンビニでプリペイドカードを買って番号を教えて」などと言ってくる場合もあります。

・還付金等詐欺(返します詐欺)

市役所や税務署の職員を装った犯人から「払い過ぎたお金(医療費・保険料・税金など)が返ってきます」と電話がかかってきます。そして、携帯電話を持ってATMへ行くよう誘導し、電話で還付手続きを指示するふりをしてATMを操作させ、犯人の口座にお金を振り込ませる手口です。
職員に止められる可能性の高い金融機関のATMではなく、コンビニやスーパーのATMへ行くよう指示されることもあります。しかし、ATMで還付金が戻ってくることは絶対にありません。

・融資保証金詐欺(貸します詐欺)

ご自宅や会社に「お金を貸します」というメールやファックスなどが届きます。「お金を借りたい」と電話をかけると、犯人は融資する意思がないにもかかわらず、「まず保証金を払ってください」と言ってお金をだまし取る手口です。


振り込め類似詐欺

・金融商品等取引名目の詐欺(もうかります詐欺)
・ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺(もうかります詐欺)
・異性との交際あっせん名目の詐欺(紹介します詐欺)
・その他の特殊詐欺


特殊詐欺の認知件数

2017年(平成29年)の特殊詐欺の認知件数は18,212件(前年比+4,058件、28.7%増)、被害額は394.7億円(-12.9億円、3.2%減)でした。被害額については減少しているものの、認知件数は増加しています。

手口別の認知状況をみると、「オレオレ詐欺」が8,496件(前年比47.7%増)と最多で、「架空請求詐欺」が5,753件(53.7%増)、「還付金等詐欺」が3,129件(15.0%減)と続きました。これら3手口で、認知件数全体の約95%を占めています。
「還付金等詐欺」については関係事業者と連携した取り組みにより減少に転じましたが、「オレオレ詐欺」と「架空請求詐欺」の2手口は大幅に増加しています。

認知件数は警察庁が把握している被害件数であるため、届け出をしていない被害者も含めると実際にはこの数字をはるかに上回るといわれています。

ご高齢者の被害状況

65歳以上のご高齢者の被害認知件数は13,196件(前年比19.3%増)で、ご高齢者は全体の72.5%と非常に高い割合になっています。
手口別にみると、「オレオレ詐欺」が96.2%、「還付金等詐欺」が93.8%で、高齢者率(高齢者被害の認知件数が占める割合)は9割以上に上っています。
(参考:警察庁 平成29年の特殊詐欺認知・検挙状況等について【確定値版】)

ご高齢者がねらわれる理由

ご高齢者がねらわれる理由

身近に相談できる人がいない

65歳以上のご高齢者のうち、子どもと同居する方は減少しており、単独やご夫婦のみの世帯が増加しています。
特に、身近に相談できる方がいない一人暮らしのご高齢者は、標的にされやすいといわれています。離れて暮らすご家族がいても、ご高齢者は「連絡をすると迷惑がかかるかも」と考えがちです。
お一人で孤独を感じている方は、他人から親切に話しかけられると好意を抱きやすいため、犯人が偽りの親切心を示して誘導する場合もあります。

日中に電話に出る機会が多い

ご高齢者の多くはご自宅で過ごす時間が長くなり、電話に出る機会が増えます。また、ご高齢者は律儀に対応し、犯人の言いなりになってしまう傾向があります。
また、普段インターネットなどを使わない方は情報量が少ないため、判断を誤ってしまうことが多いようです。さらに、被害に遭ったことに気づかない、気がついても「恥ずかしい」という気持ちから誰にも相談しないというご高齢者も少なくありません。

詐欺被害を未然に防ぐために

詐欺被害を未然に防ぐために

留守番電話にしておく

ご自宅の電話は、家にいるときでも常に留守番電話にしておきましょう。
特殊詐欺は、電話から始まることがほとんどです。電話に出て犯人と話してしまうと、巧みな話術によって冷静な判断が難しくなります。犯人は声が録音されて証拠として残ることを嫌がるため、メッセージを残すことはまず考えられません。留守番電話に設定することで、犯人と直接話をしない環境をつくっておきます。

また、最近の電話機には出る前に相手を確認できたり、登録した番号以外の着信を拒否できたりするなどの機能が付いているものがあります。電話機に後から取り付けられる警告・通話録音装置や迷惑電話ブロックなどは、振り込め詐欺だけでなく悪質商法等にも有効です。

電話を受けても動揺しない

もし電話に出てしまった場合も冷静に対応できるよう、電話の近くに貼り紙をしておくとよいでしょう。子どもや孫が危機に直面したという虚言で不安や恐怖を呼び起こしたり、「時間がない」と急かしたりして、判断力を奪うのが特殊詐欺の手口です。いざというときに動揺しないように、詐欺の手口を書いた紙や「家族に相談!」などのメモを貼っておきます。

相手に急かされても、お金をすぐに振り込んだり渡したりしないで、子どもや孫等本人に確認することが大切です。「電話番号が変わった」と言われた場合は、元の電話番号に必ずかけ直しましょう。不安を感じたらすぐに電話を切り、ご家族や身近な方、警察などに相談してください。

ご家族で「合言葉」を決めておく

日頃からご家族で詐欺の手口などについて話題にし、被害防止のためによく話し合っておきましょう。ご家族だけが分かる合言葉や約束事を決めておき、こまめに注意を呼びかけることも重要です。

困ったときは誰かに相談する

不審な電話やメール、請求文書などがきたら、すぐに誰かに相談しましょう。ご近所の方とも情報を共有し、緊急連絡先を交換しておきます。地域の方も、近所のご高齢者の変化に気づいたら相談機関に連絡する、ATMの前で慌てている方を見たら声をかけるなどすることで詐欺の防止へつなげることができます。

相談窓口

消費者ホットライン 「局番なしの 188(いやや!)
警察相談専用電話  「#9110



複数の人物・団体が登場する「劇場型」や心理的に追い込む「追い込み型」などの手口は非常に複雑で巧妙です。「私は大丈夫!」「絶対にだまされない」と思っている方も、被害に遭う可能性があります。少しでも「怪しいな」と感じたら、ひとりで判断しないで警察「#9110」または消費者ホットライン「188(いやや!)」に相談しましょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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