実務者研修(介護福祉士実務者研修)とは?介護職でのステップアップを目指す方へ

2013年度(平成25年度)から、介護職員基礎研修とホームヘルパー1級が「実務者研修(正式名称:介護福祉士実務者研修)」に一本化されました。実務経験ルートで介護福祉士国家試験の受験を希望する方は、3年以上の実務経験に加えて実務者研修の修了が必要です。今回は、実務者研修の目的やカリキュラム、受講のメリットなどについて解説します。

実務者研修(介護福祉士実務者研修)とは

実務者研修(介護福祉士実務者研修)とは

2012年度からスタートした実務者研修(介護福祉士実務者研修)は、介護福祉士国家資格の受験要件とされる研修です。

介護福祉士については、資質の向上を図る観点から2007年に法律が改正され、資格取得方法が一定の教育過程を経た後に国家試験を受験する形に一元化されました。
実務経験者については、以前は実務経験3年以上で介護福祉士の受験資格を得ることができましたが、2016年度からはさらに「実務者研修」が義務付けられました。


実務者研修のイメージ

  • 【到達目標】
    ○幅広い利用者に対する基本的な介護提供能力の修得
    ※介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準
    ○今後の制度改正や新たな課題・技術・知見を自ら把握できる能力の獲得を期待
実務者研修のイメージ

出典:厚生労働省ホームページ「介護福祉士の資格取得方法の見直しの延期について」

実務者研修は、幅広い利用者の方への基本的な介護や医療的ケアに関する知識・技能を習得することを目標としています。これは、介護福祉士養成施設(2年以上の養成課程)における到達目標と同等の水準です。
また、今後の制度改正や新たな課題、技術、知見を自ら把握できる能力を獲得することが期待されています。


実務者研修のカリキュラム

教育内容 時間数
人間と社会 人間の尊厳と自立 5時間
社会の理解Ⅰ 5時間
社会の理解Ⅱ 30時間
介護 介護の基本Ⅰ 10時間
介護の基本Ⅱ 20時間
コミュニケーション技術 20時間
生活支援技術Ⅰ 20時間
生活支援技術Ⅱ 30時間
介護過程Ⅰ 20時間
介護過程Ⅱ 25時間
介護過程Ⅲ(スクーリング) 45時間
こころとからだのしくみ 発達と老化の理解Ⅰ 10時間
発達と老化の理解Ⅱ 20時間
認知症の理解Ⅰ 10時間
認知症の理解Ⅱ 20時間
障害の理解Ⅰ 10時間
障害の理解Ⅱ 20時間
こころとからだのしくみⅠ 20時間
こころとからだのしくみⅡ 60時間
医療的ケア(*) 50時間
合計 450時間

実務者研修の教育内容は「人間と社会(40時間)」「介護(190時間)」「こころとからだのしくみ(170時間)」「医療的ケア(50時間)」に大きく分けられています。受講時間数の合計は450時間、期間は6ヶ月以上です。
*「医療的ケア」は講義50時間とは別に演習を修了する必要があります。

※すでに「介護職員初任者研修」「訪問介護員養成研修」「介護職員基礎研修」「認知症介護実践者研修」「喀痰吸引等研修」などの研修を修了した方は、実務者研修の一部が免除されます。

介護福祉士国家試験について詳しくはこちらをご覧ください。
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター

実務者研修の修了後にできることは

実務者研修の修了後にできることは

「介護福祉士国家試験」の実技試験が免除される

「実務経験3年以上」+「実務者研修修了」の方が介護福祉士国家試験を受ける場合は、実技試験が免除されます。「将来は介護福祉士を目指したい」という方は実務者研修を受講しましょう。

  • 【実技試験を受ける必要がある方】
    特例高校等(2009年度以降入学者)を卒業し、9カ月以上の介護等の実務経験があり、「介護技術講習」を修了していない方
    旧カリキュラム高校(2008年度以前入学者)を卒業し、「介護技術講習」を修了していない方
    EPA介護福祉士候補者の方で、「介護技術講習」または「実務者研修」を修了していない方

「喀痰吸引」「経管栄養」などの医療的ケアができる

実務者研修を修了すると、たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)と経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)が、一定の条件(医療や看護との連携による安全確保が図られていることなど)のもとで行えるようになるため、仕事の幅がより広がります。

実務者研修のカリキュラム「医療的ケア」では、医師や看護師などの医療従事者のみが行える医療行為である「喀痰吸引(かくたんきゅういん)」や「経管栄養」の知識・技術を学べます。研修を受けた介護職員は「認定特定行為業務従事者」として認定を受け、所属する事業所が「登録事業者(登録喀痰吸引等事業者・登録特定行為事業者)」である場合は、医師の指示、看護師等との連携の下において、たんの吸引等を行えるようになります。

▼関連記事
介護職員等による喀痰吸引等(たんの吸引・経管栄養)の制度


訪問介護事業所のサービス提供責任者になれる

訪問介護事業所で1人以上の配置が義務づけられている職種が、サービス提供責任者(サ責)です。サービス提供責任者は、訪問介護員(ヘルパー)やケアマネジャー、訪問介護サービスのご利用者様をつなぎ、適切なサービス提供のためにコーディネート業務を行います。やりがいを求める方や管理職を目指したい方には最適な職種といえるでしょう。

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訪問介護事業のキーパーソン「サービス提供責任者(サ責)」とは?



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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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