第一線の社会福祉行政機関である福祉事務所(福祉に関する事務所)。今回は、社会福祉の総合的窓口としてさまざまな分野の相談を受け付け、制度やサービスの紹介、必要な支援などを行う福祉事務所について解説します。
福祉事務所とは

社会福祉法第14条に規定されている「福祉に関する事務所」のことを福祉事務所といいます。
高齢の方、身体障がいや知的障がいのある方、児童、ひとり親家庭の親、生活に困っている方の福祉に関する相談や援護などを行っています。
都道府県と市(特別区を含む)には、福祉事務所の設置が義務づけられています。(ごく一部ですが、福祉事務所を設置している町村もあります。)
2025(令和7)年4月1日現在における全国の福祉事務所数は、1,240カ所です。
福祉事務所の役割
福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法および知的障害者福祉法)に定める援護、育成、または更生の措置に関する事務をつかさどります。 具体的には、福祉を必要とする方、または必要であると判断される方に対して、家庭訪問、面接によるご本人の状況調査、生活指導、保護措置の必要の有無やその種類の判断などを行っています。
また、民生委員・児童委員に関する事務、児童扶養手当に関する事務などを行っている福祉事務所もあります。
福祉事務所の主な職員
福祉事務所には、所長、査察指導員(スーパーバイザー)、現業員(ケースワーカー)、事務職員が配置されています。
このほか、老人福祉指導主事、知的障害者福祉司、身体障害者福祉司、家庭相談員、母子・父子自立支援員、面接相談員などが配置されている福祉事務所もあります。
査察指導員(スーパーバイザー)や現業員(ケースワーカー)には社会福祉主事の資格が必要です。
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さまざまな福祉の現場で活かせる資格のひとつ「社会福祉主事任用資格」
福祉事務所の仕事

生活保護の相談
生活に困っている方の相談、生活保護の相談・申請などを受け付けています。
生活保護制度とは、生活に困っている方に対して、困窮の程度に応じた必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立した生活ができるよう援助する制度です。
「生活扶助」「教育扶助」「住宅扶助」「医療扶助」「介護扶助」「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」の8種類があります。
子どもや家庭についての相談
児童や家庭の福祉についての相談に応じています。
また、保育所や助産施設、母子生活支援施設への入所、虐待を受けている児童の安全の確認、保護、必要に応じた児童相談所への送致などを行っています。
ひとり親家庭についての相談
母子家庭のお母さんや父子家庭のお父さん、寡婦の方の福祉についての相談に応じています。
ひとり親家庭の親や寡婦の方の経済的自立や、児童の福祉増進のための資金の貸し付け(母子父子寡婦福祉資金貸付金制度)なども行っています。
知的障がい者の福祉についての相談
知的障がいのある方の福祉に関する相談や、援護施設への入所などの相談に応じています。
身体障がい者の福祉についての相談
身体障害者(児)手帳の交付、補装具や更生医療の給付、施設への入所など、身体障がいのある方の福祉に関する相談に応じています。
高齢者福祉についての相談
認知症や寝たきりなどで介護を必要とする高齢の方の相談、老人ホームヘの入所など、高齢者福祉についての相談に応じています。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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