食品表示は、消費者が食品を選ぶときの指標となる重要な情報源です。食品表示の意味を理解して食品を選ぶことは、健康的な食生活につながります。今回は、「食品表示法」の最近の主な変更点をお伝えし、「保健機能食品」と「特別用途食品」についてもご紹介します。
「食品表示法」とは

食品に表示されている原材料や栄養成分、原産地、添加物などは、消費者が食品を選んで購入する際の助けとなります。
食品表示のルールを定めていた法律には、「JAS法」「食品衛生法」「健康増進法」の3つがありました。この3つの法律は目的が異なり、それぞれに表示ルールが定められていたため、非常に複雑で分かりにくいものでした。そこで、2015(平成27)年4月に、その3つの法律を統合した「食品表示法」が施行されました。
「食品表示法」では、従来の表示ルールが一元化され、消費者と事業者の双方にとって分かりやすい表示となっています。

最近の主な変更点

機能性表示食品制度の見直し
制度の信頼性を高める観点から、2024(令和6)年9月1日または2025(令和7)年4月1日に、機能性表示食品制度の見直しが行われます。
- ・医師の診断による健康被害情報の保健所等への提供の要件化
- ・天然抽出物等を原材料とする錠剤、カプセル剤等食品について、GMP(適正製造規範)に基づく製造管理を要件化
- ・摂取上の注意事項の記載方法等の表示方法の見直し など
特定原材料として「くるみ」を追加
2023(令和 5)年3月9日から、アレルギー表示の対象品目である特定原材料として「くるみ」が追加されました。
※2025(令和7)年3月31 日までは、食品メーカーなどが準備するための猶予期間となっています。

出典:知っておきたい食品の表示(令和6年9月版・消費者向け) (消費者庁ホームページ)
(表示されるアレルゲンは、食物アレルギーの実態に応じて見直されることがありますのでご注意ください。)
特定原材料に準ずるものの対象品目の見直し
2024(令和6)年3月28日から、アレルギー表示の対象品目である特定原材料に準ずるものとして「マカダミアナッツ」が追加され、「まつたけ」が削除されました。
遺伝子組換えに関する任意表示変更
2023(令和 5)年4月1日から、任意表示について「適切に分別生産流通管理をしている」旨の表示や、「遺伝子組換えでない」旨の表示やが、使用した原材料に応じて表示されるようになっています。
分別生産流通管理(IP管理)を行い、遺伝子組換え農産物の意図せざる混入率を5%以下に抑えている大豆・とうもろこしは「適切に分別生産流通管理をしている」旨の表示が可能となりました。
分別生産流通管理を行い、遺伝子組換え農産物の混入がないと認められる大豆・とうもろこしは「遺伝子組換えでない」旨の表示が可能となりました。
加工食品の原料原産地表示制度
2022(令和4)年3月31日までは、食品メーカーなどが準備するための猶予期間となっていましたが、現在はすべての加工食品(輸入品を除く)に1番多く用いられている原材料の産地が表示されています。
表示方法には「国別重量順表示」、「製造地表示」、「又は表示」、「大括り表示」、「大括り表示 + 又は表示」があります。
「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」の公表
「食品添加物表示制度に関する検討会」および「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会」での議論を踏まえて、食品表示基準第9条に規定された表示禁止事項に当たるか否かのメルクマールとなる食品添加物の不使用表示に係るガイドラインを公表しました。
「保健機能食品」とは

出典:消費者の皆様へ「機能性表示食品」って何?(消費者庁ホームページ)
「保健機能食品」とは、機能性の表示ができる食品のことです。
一般食品と医薬品の中間に位置する一定の機能をもった食品群で、「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つがあります。
特定保健用食品(トクホ)
「お腹の調子を整えます」「コレステロールの吸収を抑える働きがあります」など、保健の機能の表示ができる食品のことです。
表示されている効果や安全性は、国が審査を行い、食品ごとに消費者庁が許可しています。特定保健用食品(トクホ)の製品には、許可マークと許可表示が表示されています。
栄養機能食品
特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものを「栄養機能食品」といいます。
対象となるのは、消費者に販売される容器包装に入れられた一般用加工食品と一般用生鮮食品で、食品表示基準に基づいて表示されます。
機能性表示食品
「機能性表示食品」とは、事業者の責任において、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品のことです。
事業者から届け出られた情報は、消費者庁のウェブサイトで公開されます。製品には「届出番号」が表示されています。
ただし「機能性表示食品」は、国が安全性と機能性の審査を行ったものではありません。
「特別用途食品」とは

病気の人、えん下困難の人、乳児、妊産婦などの健康の保持・回復などに適するという特別の用途について表示できる食品のことです。
「特別用途食品」は、その表示について消費者庁長官の許可を受ける必要があります。

出典:特別用途食品とは(消費者庁ホームページ)
「特別用途食品」は、「病者用食品」「妊産婦、授乳婦用粉乳」「乳児用調製乳」「えん下困難者用食品」に大きく分けられます。前述の「特定保健用食品」も、広義では「特別用途食品」にはいります。
えん下困難者用の「とろみ調整用食品」は、2018年4月に追加されました。
病者用の「糖尿病用組合せ食品」と「腎臓病用組合せ食品」は2019年9月に追加されました。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
Facebookページで
最新記事配信!!