福祉・介護業界には、「社会福祉士」「介護福祉士」「精神保健福祉士」という3種の国家資格があります。
今回は、この「三福祉士」のひとつ「精神保健福祉士」の役割や主な仕事内容、国家試験の概要などについてお伝えします。
精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは、PSW(Psychiatric Social Worker)とも呼ばれる精神保健福祉領域のソーシャルワーカーです。
精神保健福祉士法(平成9年12月19日法律第131号)に基づく名称独占の国家資格で、1997(平成9)年に誕生しました。
同法では「精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、もしくは精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援の利用に関する相談その他の社会復帰に関する相談または精神障害者および精神保健に関する課題を抱える者の精神保健に関する相談に応じ、助言、指導、日常生活への適応のために必要な訓練その他の援助を行うことを業とする者」と定められています。
精神保健福祉士の役割
精神保健福祉士の役割は、精神障害のある方への援助だけでなく、精神障害等によって日常生活や社会生活に支援を必要とする方、メンタルヘルスの課題を抱える方に対する援助へと拡大しています。
それに伴い、医療・福祉・保健分野から、教育や司法、産業・労働分野などにも、精神保健福祉士が配置されるようになりました。
このように変化する役割に対応できる精神保健福祉士を養成するために、2021(令和3)年度から新しいカリキュラムが順次導入されています。
主な仕事内容
精神保健福祉士は、精神障害のある方やそのご家族の社会生活上の問題を解決するための援助、社会復帰の促進、社会参加に向けた支援、相談援助などを行います。仕事内容は働く場所によって異なりますが、その人らしい生活の実現を目指すという点は同じです。
・医療機関精神科病院や総合病院の精神科、医療機関併設のデイケアなどでは、他職種と連携しながら、精神障害のある方の生活を支援します。医療職ではないため、医師の指示によって業務を行うものではありませんが、「主治医がいればその指導を受けなければならない」と定められています。
・福祉行政機関
法律に基づいた支援事業や手続きの実施、就労支援事業、地域移行支援活動、普及啓発活動の企画・実施・調整などを行います。
・障害福祉サービス等事業所
日常生活訓練をする事業所では、家事などを一緒に行い、助言します。 就労前訓練や作業を行う目的の施設の場合は、作業を通した社会参加支援、就労前トレーニングや就職活動に関する助言、職場定着のための支援などを行います。 地域生活の支援を主な目的とする事業所では、相談や日常生活に関わるサービスの提供、情報発信、居場所の提供などを行います。
精神保健福祉士になるには

精神保健福祉士になるには、年1回(毎年2月上旬頃)実施される国家試験に合格する必要があります。
受験資格
① 4年制大学で指定科目を修めて卒業した方(令和8年3月31日までに卒業見込みの方を含む)
② 2年制(または3年制)短期大学等で指定科目を修めて卒業し、指定施設において2年以上(または1年以上)相談援助の業務に従事した方(令和8年3月31日までに従事する見込みの方を含む)
③ 精神保健福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業(修了)した方(令和8年3月31日までに卒業(修了)見込みの方を含む)
④ 精神保健福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業(修了)した方(令和8年3月31日までに卒業(修了)見込みの方を含む)
2025(令和7)年実施の第27回 精神保健福祉士国家試験の結果
受験者数 | 6,642人 |
合格者数 | 4,694人 |
合格率 | 70.7% |
精神保健福祉士が活躍できる職場は、精神科病院などの医療機関、福祉行政機関、生活支援施設、教育機関、司法施設、企業など多岐にわたります。また、認知症の方の増加に伴い、多くの精神保健福祉士が、医療機関や地域などで認知症の方への支援を行っています。
精神保健福祉士の資格取得について詳しくは、公益財団法人 社会福祉復興・試験センターHPをご覧ください。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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