平成30年(2018年)に何が変わる?ご利用者様に関わる介護保険法改正のポイント

福祉用具貸与価格の見直し

現行の福祉用具貸与については、同じ商品であっても貸与を行う業者によって価格に差があるのが実情です。これは、業者によって仕入れ価格や点検費用などが異なるために起こります。今改正ではこうした貸与価格の見直しを行い、利用者が適正な価格でサービスを受けられるようにします。【平成30年(2018年)10月~】

具体的には、国が商品ごとに全国平均の貸与価格を公表する予定です。レンタル業者が福祉用具を貸与するときは、この全国平均貸与価格と業者の設定価格の両方を提示して利用者に説明することになります。また、機能や価格帯が異なる商品については、複数を提示することになります。【複数商品提示は平成30年(2018年)4月~】

さらに商品ごとに貸与価格の上限が設定されるなど、利用者が高額な費用請求をされないように配慮されているのが特徴です。

新しい介護保険施設「介護医療院」の創設

今後も要介護者の増加が懸念されるということは、慢性的な医療や介護ニーズが増えることにも繋がります。こうしたニーズに対応できる新しい介護保険施設として、平成30年(2018年)4月に誕生するのが「介護医療院」です。これは、長期にわたって療養するための医療と、日常生活を送る上での介護を一体的に受けられる施設となります。

開設できる主体は、医療法人のほか、地方公共団体や社会福祉法人などの非営利法人等です。現在ある「介護療養病床」については、いずれ廃止することとされています。改正前は平成30年(2018年)3月末が廃止期限でしたが、今改正で6年延長されました。

新たに「共生型サービス」を位置づけ

平成30年(2018年)4月から、介護保険と障害福祉の両制度に新しく「共生型サービス」が位置づけられます。このサービスの目的は、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくすることです。現行では介護保険事業所が障害福祉サービスを提供する場合に、それぞれ指定基準を満たす必要がありました。そのため、たとえば障害福祉サービスを利用してきた方が高齢になり、介護保険サービスに移行する際には事業所を変えざるを得ない場合もありました。しかし、新たな「共生型サービス事業所」では、このような不便さの解消が期待されます。

想定されている対象サービスは「訪問介護(ホームヘルプサービス)」「通所介護(デイサービス)」「短期入所生活介護(ショートステイ)」などです。障害福祉サービス事業所等であれば、介護保険事業所の指定も受けやすくする特例を設けます(※逆も同じ)。ただし具体的な基準などは、平成30年度(2018年度)の介護報酬改定および障害福祉サービス等の報酬改定時に検討される予定です。



今回は平成29年介護保険改正のポイントについて解説しました。まだ議論が必要なものもあるため、今後の動向に注目していきましょう。

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ライター:anco

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員の資格を保有。在宅や施設と、15年以上の介護職での経験を活かして、介護分野のライターをしています。

平成30年(2018年)に何が変わる?ご利用者様に関わる介護保険法改正のポイント

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