ご高齢者の転倒・骨折を防ごう!ご家庭や介護施設で見直したいポイント

2017/10/11

ご高齢者は加齢とともに転びやすくなり、転倒による骨折は「健康寿命」を縮めることになります。要介護になる原因のひとつである転倒を防ぐことは、健康寿命の延伸やQOL(生活の質)の維持・向上のためにも重要です。今回は、ご高齢者の転倒・骨折の原因や予防について解説します。

ご高齢者の転倒・骨折の状況

ご高齢者の転倒・骨折の状況


ご高齢者はご家庭内での転倒事故が多く、75歳以上では「骨折」の割合が増えています。(独立行政法人国民生活センター「医療機関ネットワーク事業からみた家庭内事故-高齢者編-」平成25年3月公表・内閣府「平成29年版高齢社会白書」)

転倒によって骨折が起こりやすい部位は、太ももの付け根(大腿骨頚部)や背骨(脊椎)、腕の付け根(上腕骨頚部)、手首(橈骨遠位端)などです。このうち「太ももの付け根」は、骨折すると歩けなくなったり寝たきりになったりする可能性が高くなります。

65歳以上の方が要介護になる原因は「脳血管疾患(脳卒中)」が17.2%と最多で、「認知症」16.4%、「高齢による衰弱」13.9%と続き、4位の「骨折・転倒」は全体の12.2%です。男女別にみると男性が6.0%、女性が15.4%で、骨密度の低い女性の方が多くなっています。(厚生労働省「国民生活基礎調査」平成25年)

ご高齢者の転倒・骨折の主な原因

ご高齢者の転倒・骨折の主な原因

内的要因

■視覚・聴力の変化
視力だけではなく目の調節能力が低下するため、明暗の変化に慣れるまでに時間がかかります。白内障の方は、視界が白く霞んで見えたり、光をまぶしく感じたりすることがあります。緑内障の場合は、視野が狭くなる症状が一般的です。また、聴力の低下により、周囲の状況を把握しにくくなります。

■バランス能力・歩行の変化
平衡感覚が鈍くなり、バランスを崩しやすくなります。また、歩くスピードが遅くなり、歩幅も狭くなりがちです。歩行機能の低下から歩くリズムが乱れると、転倒につながることがあります。

■骨・筋肉の変化
骨がもろくなる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や筋力の低下により、ご高齢者は前かがみになることが多いです。前傾姿勢はバランスを崩しやすく、転びやすくなります。また、転倒しそうなときに、とっさに手足を動かして身体を守ることが難しくなります。

■病気・薬の影響
脳卒中の前兆として転びやすくなる場合があります。そのほか、認知症・パーキンソン病・起立性低血圧・不整脈・関節リウマチなども転倒を起こしやすい病気です。また、薬の副作用による眠気・めまい・ふらつきなどが転倒の原因になることがあります。

外的要因

ご高齢者転倒の外的要因

■環境・設備
滑りやすいマットや床、小さな段差、暗い廊下などの環境は転倒リスクが高まります。脱げやすい靴やスリッパ、身体に合わない補助具や車いすなども危険です。また、ペットがいるご家庭では、ご高齢者の足もとにペットがじゃれついて転んでしまうことがあります。

■状況・心理状態
足を滑らせやすい雨や雪が降った日、足元が暗い夜間や早朝などは転倒事故が起こりやすくなります。「時間に追われて焦っていた」「他のことに気をとられていた」「イライラしていた」などの心理状態のときも注意が必要です。また、転倒を経験した方が不安や恐怖から今までと違う歩き方をすると、かえって転倒を引き起こすことがあります。

ご高齢者の転倒を防ぐためには

ご高齢者の転倒を防ぐためには


前述の内的要因の工夫・改善の他、住環境の整備やお食事、運動によって転倒・骨折を予防しましょう。また、転倒してもケガが最小限で済むように、「ヒッププロテクター」や「頭部保護帽」などの予防具を使用することも対策のひとつです。

生活環境を整えましょう

■脱衣所・浴室
床に小物などが置いてある場合は片付けて、広いスペースを確保します。着替えや入浴のときは身体のバランスが崩れやすいため、安定した椅子を用意しておくとよいです。浴室の床には「滑り止めマット」を敷くか滑りにくい素材を使い、手すりも設置しましょう。

■リビング・居室
広げたままの新聞や小物など、つまずきやすいものは片付けます。電気コードは、部屋の隅やカーペットの下を通すなどの工夫が必要です。カーペット類は部屋全体に敷き、ふちがめくれないようにテープなどで固定します。椅子の脚には滑り止めをつけ、テーブルの角など尖った箇所には念のためにカバーをつけましょう。
また、引き戸や開き戸にはストッパーを取り付けます。施設等では、転倒や転落事故が多いベッド周りに「離床センサー」や「衝撃吸収マット」などを使用することもあります。

■トイレ・廊下
トイレは洋式にして、ドアは外開きや引き戸にするとよいです。トイレや廊下には手すりを付け、敷居の段差はスロープなどで解消します。また、足もとには自動点灯の照明を設置しましょう。

■階段・玄関
階段には専用の滑り止めをつけ、手すりは左右に設置するのが理想的です。階段全体の照明のほかに、フットライトもつけましょう。玄関の上がり框(あがりがまち)には踏み台を置き、玄関マットは敷かないようにします。

すでに介護認定を受けている、または認定を検討中の方は、住居環境の整備(改修)については、公的支援を受けることもできます。
介護保険が適用される住宅改修については、こちらをご覧ください。

より暮らしやすく!介護保険が適用される住宅改修とは    

食生活を少し変えてみましょう

さまざまな食品をバランスよく食べて、5大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)をしっかり摂りましょう。骨や筋肉を強くする栄養素は、ビタミンD・カルシウム・ビタミンK・たんぱく質などです。ご高齢者は、不足しがちな卵や乳製品、肉などを積極的に食べるとよいでしょう。また、カルシウムの吸収を妨げるタバコやアルコール、カフェインの摂取は控えめにすることも大切です。

無理なく運動を取り入れましょう

毎日の生活に、ストレッチなどの簡単な運動を取り入れましょう。日光を浴びると、カルシウムの吸収を高めて骨を丈夫にするビタミンDが体内で作られるため、天気のよい日のウォーキングもおすすめです。歩くときは、ご自身に合った靴と動きやすい服装を選びましょう。

また、地域の転倒予防教室などに参加するのもひとつの方法です。運動することがストレスにならないように、無理なく楽しく続けられることを見つけてみてください。転倒に対する不安から外出を控えてしまうご高齢者は、心身機能やQOL(生活の質)が低下しないように周囲の方がサポートしましょう。

転倒予防については下記の記事もご覧ください。

健康寿命を延ばすために!ロコモティブシンドロームを予防しましょう    



「転倒を防ぐ」ことはもちろん、「転んでも骨折しない」身体づくりに取り組むことも重要です。定期的に骨密度検査などを受けてご自身の骨の状態を知り、できるだけ早く対策をとりましょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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