寄り添うケアで安心感を!言語障がいのある方とのコミュニケーション方法 

2017/07/05

言語障がいのある方とのコミュニケーションは難しく、どうしたらいいか分からないと悩む介護者の方が多くいらっしゃいます。しかし、ちょっとした工夫でコミュニケーションがスムーズになり、意思の疎通が可能となります。今回は言語障害の種類や、それぞれの特徴に合わせた接し方、コミュニケーションのポイントについて解説します。

「言語障害」とは

「言語障がい」とは


「言語障がい」とは、言葉を用いたコミュニケーションが妨げられた状態のことです。ご高齢者の言語障がいの主な原因には、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血等)や認知症などがあります。治療は、主に言語聴覚士(ST)によるリハビリテーションです。
ひとくちに「言語障害」といってもタイプや症状は多様で、接し方もそれぞれ異なりますが、「構音障害」と「失語症」の2種類に大別できます。

構音障害

「構音」とは「発音」のことで、「構音障害」とは発音がうまくできない状態をいいます。
構音障害のなかで、脳卒中や神経・筋疾患によるものが多いのが「運動障害性構音障害」です。言葉の理解はできますが、発声発語器官(口唇・舌など)の運動がうまく行えず、音を作り出すことや話すことが困難になります。「呂律(ろれつ)が回らない」「声が出にくい」などの症状のために言いたいことが相手に伝わらず、大きなストレスを抱えたり孤立したりしがちです。また、構音障害のある方は、摂食・嚥下(飲み込む)障害を合併している可能性があります。

失語症

失語症

「失語症」とは、言葉の理解や話す(伝えたいことを言葉にする)という行為が困難になる障がいのことです。高次脳機能障害のひとつで、大脳の言語中枢が損傷を受けることによって起こります。

失語症は「話す」ことだけではなく、「聞く」「読む」「書く」といったことも困難になります。イメージとしては、言葉の分からない外国にいるような状態です。障がいの出方や程度は、脳の傷ついた場所や大きさによって大きく異なります。

個人差があるものの、多くの方は言語中枢が左脳にあるため、脳血管障害が左脳に起きた場合に失語症を伴うケースが少なくありません。認知症と誤解されることが多くありますが、言語機能以外の能力(洞察力・判断力など)は保たれています。

失語症の代表的なタイプは下記の4つです。

・ブローカ失語(運動性失語)
言葉を聞いて理解する力は比較的保たれていますが、スムーズに話すことが困難です。右片マヒを合併していることが多くあります。

・ウェルニッケ失語(感応性失語)
身近な物や人の名前が出てこなかったり、言い間違いが多くなったりします。また、聞いて理解する力が低下しているため言葉のキャッチボールが困難ですが、比較的なめらかに話すことができます。右視野の障がいを合併することが多いです。

・全失語
「話す」「聞く」「読む」「書く」のすべてが困難になります。意味のある言葉を話すことは難しいですが、その場の状況を理解する力は保たれています。右片マヒを伴うことが多いです。

・健忘失語
もっとも軽度の失語症です。聞いて理解する力は保たれており、なめらかに話すこともできます。しかし、物や人の名前が出てこないことがあるため、回りくどい表現になりがちです。

「言語障がい」のあるご高齢者とのコミュニケーション

「言語障がい」のあるご高齢者とのコミュニケーション

「構音障がい」の方との接し方

構音障がいの方は基本的に言語知識には問題がありませんので、相手が思っていることを伝えやすいよう工夫することが重要です。

急かしたりせずにゆっくりと話しかけ、ご高齢者にも短く区切ってゆっくりと伝えていただきます。聞き取りにくいときは、わかったふりをせず、もう一度伝えていただくようにしましょう。テレビの音声を下げたり、雑音を少なくしたりと、相手が話しやすい環境を作ることも大切です。

話し言葉だけでのコミュニケーションが難しい場合は、紙や磁気ボードなどに書く(筆談)ことでコミュニケーションが図れます。書くことが難しくても、コミュニケーションボード(50音表)・スマートフォン・意思伝達装置などのツールを用いることでスムーズに伝え合うことができます。

「失語症」の方との接し方

ゆっくりとわかりやすい言葉で話しかけましょう。言葉で伝わりにくい際は、別の言い方でくり返し話します。イメージがなかなか伝わらないときは、実物を指で指して具体的に伝えましょう。相手が言いたいことを伝えようとしているときはゆったりと待ち、決して先回りして話さないことも大切です。なかなか言葉が出にくいときは「はい」「いいえ」で答えられるよう工夫します。

写真・カレンダー・時計・ジェスチャーなどを活用するのもよい方法です。携帯電話やパソコンなどがコミュニケーションに役立つこともあります。ただし、構音障がいの方に有効なコミュニケーションボード(50音表)は、失語症の方には向いていません。

コミュニケーションのポイント

「言葉」は私たちが生きてコミュニケーションをとる上で必要不可欠なものです。言語障がいを持つ方は、自身の気持ちがうまく伝わらなかったり話をすることができなかったりすると精神的に落ち込むことが増えます。また、不安・怒りといった感情や自分自身へのもどかしさが、怒鳴る・暴れるといった表現方法になってしまう方もいらっしゃいます。

言語障害はご家族や周囲にとっても辛い障がいのひとつですが、障がいを正しく理解して温かく接することが大切です。間違いを指摘したり子供扱いをしたりせず、ご本人の人格を尊重しましょう。



自分の想いをスムーズに相手に伝えることができない、相手の会話が理解できないことは非常に辛いことです。介護者はご本人の気持ちを理解して、心に寄り添うコミュニケーションを心がけましょう。また言語以外の保たれている力を活かし、できること・得意なことを楽しんでいただくことも重要です。

ライター:遠藤 あい

社会福祉士・介護福祉士・ケアマネージャー・メンタル心理カウンセラーの資格を所持し、現在はグループホームのケアマネージャーとして認知症ケアに携わっております。現場経験や、講師経験を活かし執筆活動中です。

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