自尊心を傷つけない認知症の方とのコミュニケーション方法

2017/05/12

認知症のご高齢者とのコミュニケーションは難しく、「どう接したらよいか分からない」と困惑してしまう方も多いでしょう。認知症には原因となるいくつかの病気があり、その症状も人によってさまざまです。今回は、認知症の主な症状や接し方のポイント、コミュニケーションが難しい場合の対応方法を解説していきます。

認知症の主な症状とは

認知症の主な症状とは


認知症の症状はさまざまな形であらわれますが、一般的に「中核症状」と「BPSD(行動・心理症状)」の2つに大別されます。

中核症状

「中核症状」とは、病気などが原因で脳の細胞がダメージを受け、脳機能が低下することで起こる症状です。認知症における中心的な症状であり、認知症の方のほぼすべてにあらわれます。

・記憶障害(新しいことを覚えられない・体験したことを忘れてしまう)
・見当識障害(時間や場所、季節、人間関係などが正しく認識できない)
・理解・判断力の障害(話の内容が理解できない・ささいな変化に混乱しやすい)
・実行機能障害(計画が立てられない・家電やATMなどがうまく使えない)

BPSD(行動・心理症状)

「BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」とは、中核症状の進行にともなって副次的に起こる「行動・心理症状」のことです。「周辺症状」とほぼ同じ概念で、中核症状によって生じる生活上の困難に適応できない場合にあらわれます。ご本人の性格や環境、身体的な要因などが関わっているため、すべての方にみられるとは限りません。また、対応次第で症状が和らぐことがあります。

【行動症状】
徘徊 ・ 拒絶 ・ 暴力 ・暴言 ・不潔行為   など

【心理症状】
不安 ・抑うつ ・幻覚 ・妄想 ・睡眠障害    など

認知症の方への上手な接し方

認知症の方への上手な接し方


認知症の方は「何も分からない」「どうせ忘れてしまう」と思われがちです。しかし、最近のことは忘れても古い記憶は残っていることが多く、感情も豊かに生きています。ご本人も混乱や不安、焦燥感などのストレスを抱えていることを理解し、自尊心を傷つけないように気をつけましょう。

ご本人のペースに合わせる

認知症の方は、ペースを乱されるとパニックに陥ってしまうことがあります。言葉や態度で急かしたり慌てさせたりせず、ゆっくりとご本人のペースに合わせましょう。また、話しかけるときは正面から近づき、ご高齢者の視野に入ってから声をかけて驚かせないようにします。

分かりやすい言葉で簡潔に伝える

認知症の方は、一度に多くの話をすると理解できずに混乱してしまいます。「○○して、○○したら、○○しましょうか。」という言い方では分かりにくいため、「○○しましょうか。」「○○しましょうか。」...と短く区切って具体的に伝えます。また、「次はこうですよね」などと言葉を先取りせず、気長に待つことが大切です。

言動ではなく気持ちに寄り添う

徘徊や妄想などの症状がある場合は、言動そのものではなくご本人の気持ちに寄り添ってみましょう。意味が分からない言動であっても、その方なりの理由があることが多いものです。常識を押しつけて説得するよりも、その言動の理由を見つけるよう努めて理解を示しましょう。

「その人らしさ」を大切にする

「分からないこと」「できないこと」ばかりに目を向けず、「分かること」「できること」を探すことが重要です。時には好きなこと・得意なことをやっていただき、ご本人の自信に繋げていきましょう。また、人格否定するような命令口調や叱責は慎み、嫌な表情を見せないように注意します。

スキンシップをはかる

不安や疎外感を感じやすい認知症の方は、冷たい態度に敏感です。「味方ですよ」という気持ちを込めて、手や肩などに優しく触れるスキンシップを心がけましょう。また、威圧感を与えないために、目線は同じ高さになるように合わせます。

▼コミュニケーションの基本についてはこちらをご覧ください。
お客様との上手なコミュニケーション方法 ~介護の仕事に携わる方へ~

症状に応じたコミュニケーション方法

症状に応じたコミュニケーション方法

被害妄想がある場合

お財布が盗まれた等の「もの盗られ妄想」は、ご本人のお話に合わせることが基本です。否定しないで訴えをよく聴き、「一緒に探してみましょう」「調べてみますね」などのように対応します。また、ケアをする方がご高齢者から学ぶ姿勢を持つなどして対等な関係を築くと、心理的な負担が軽くなり被害妄想が改善する場合があります。

徘徊(はいかい)がある場合

外に出て行こうとする「徘徊」には、ほとんどの場合にその方なりの目的や理由があります。責めたり無理に止めたりすると逆効果になるため、共感しながらお話をよく聴きましょう。外へ出たら後ろからついて行って見守り、ご本人が歩き疲れた頃に「帰りましょうか」と声をかけてみます。念のために徘徊感知器・GPS付き発信機などを備えておき、ご近所の方や近くの交番にも協力を仰いでおきましょう。



認知症の方や介護するご家族には、「認知症をオープンにすることに抵抗がある」などのさまざまな葛藤があって当然でしょう。しかし、認知症ケアでは、環境や人間関係への配慮も重要です。ご家族だけで抱えこまず、「認知症カフェ(認知症の方やご家族・地域の方・専門家など誰でも参加できる集いの場)」を利用するなどして、周囲の理解や協力をぜひ求めてください。
また、介護が長丁場となることを考えて、息抜きやストレス発散ができる環境を早くから整えておきましょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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