高齢化が進むなか施行された「後期高齢者医療制度」

2018/04/12

ご高齢者の医療を支えるための後期高齢者医療制度。ここでは、後期高齢者医療制度の医療費や対象となる方、保険料、軽減制度についてお伝えしていきます。

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度とは

後期高齢者医療制度は、75歳以上(一定の障害があると認められる場合は65歳以上)の方々に必要な医療を支える制度です。2008年(平成20年)に施行され、制度開始時には1319万人が被保険者となりましたが、高齢化が進む中、加入者はさらに増加することが見込まれています。

医療にかかる費用負担について

被保険者である高齢者は、医療にかかった費用の一部を医療機関の窓口にて負担します。原則として負担割合は1割で、現役並みの所得者は3割です。(現役者並み所得者とは、収入額が基準額である、夫婦2人世帯で520万円、単独世帯で383万円を超える人をいいます)

負担割合については、被保険者証に「一部負担金の割合」が記載されています。

1か月の医療費が高額になった場合

1か月の医療費が高額になった場合には、行政窓口である都道府県広域連合または市町村に申請を行うことで、自己負担限度額を超えた分について高額療養費として支給されます。

・自己負担限度額について

        
所得区分 自己負担限度額
外来(個人) 外来+入院(世帯)
一般(1割負担) 14,000円
(年間上限144,000円)
57,600円
現役並み所得者(3割負担) 57,600円 80,100円
※総医療費が267,000円を超えた場合は、超えた分の1%を加算
低所得者(世帯住民税非課税) 8,000円 24,600円
低所得者(世帯住民税非課税で年金収入80万円以下) 8,000円 15,000円

後期高齢者医療制度の財源

医療にかかる費用は、被保険者が医療機関の窓口で負担する保険料から約1割、健康保険組合等の若年者の医療保険の保険料から約4割、公費が約5割を負担しています。これらの費用負担を「後期高齢者支援金」と呼んでいます。

後期高齢者医療制度の対象者と自動加入

後期高齢者医療制度の対象者と自動加入

後期高齢者医療制度の対象者となる方は、75歳以上の方で75歳の誕生日を迎えられた日から対象となります。今まで加入していた医療保険(国民健康保険や共済組合など)から退き、後期高齢者医療制度に加入することになります。

被保険者証については、誕生日の前月末までに送付されます。誕生日以降は、いままで加入していた医療保険の被保険者証は使用できません。

一定の障害があると認められる場合

65歳から74歳の方で、一定の障害があると認められる場合においても、被保険者となることができます。

認められる一定の障害の程度とは、
・国民年金法等における障害年金 1~2級
・身体障害者手帳 1~3級および4級の一部(音声言語機能の著しい障害、両下肢のすべての指を欠く、下肢の下腿1/2以上欠く、下肢の機能の著しい障害)
・精神障害者保健福祉手帳 1~2級
・療育手帳 「A」
となっています。


・障害認定による加入の撤回

障害認定により加入した人は、75歳になるまでの間は、後期高齢者医療制度の被保険者と認定された後であっても撤回することができます。

後期高齢者医療制度に加入し被保険者と認定された場合、会社員等が加入する被用者保険(健康保険)の被扶養者となることができません。被用者保険の被扶養者となる場合は、行政窓口である市町村に相談し、広域連合へ撤回届の提出を行い、扶養の申請が必要になります。

生活保護受給者について

生活保護受給者は、適用除外者となっており後期高齢者医療制度を受けることはできません。75歳を迎えられた方でも、生活保護法の中で医療を受けることになります。

後期高齢者医療制度の保険料について

後期高齢者医療制度の保険料について

後期高齢者医療制度の被保険者は、後期高齢者医療広域連合が決定した、一人ひとりに応じた保険料を負担します。

保険料額は、均等割額と所得割額の合計額で構成されています。保険料を決めるための基準については、後期高齢者医療広域連合が2年ごとに見直しを行っています。

均等割額とは

被保険者一人ひとりに対して均等に賦課される税額のことで、平成28、29年度の全国平均の均等割額は45,289円となっています。世帯の所得が一定以下の場合については、均等割額の7割・5割・2割を軽減しています。

所得割額とは

前年の所得に応じて所得の多い人ほど多く負担する税額のことで、所得割額=基礎控除後の総所得金額等×所得割率で求めることができます。

出典:厚生労働省 20160315_報道発表
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12403500-Hokenkyoku-Koureishairyouka/0401press.pdf


後期高齢者医療の保険料軽減特例

後期高齢者医療制度に加入している被保険者の中で、世帯の所得が一定以下の場合は、保険料が軽減される仕組みがあります。また平成22年からは、更なる特例措置も設けられています。

軽減特例については、今後さらに増加が見込まれる後期高齢者にとって、低所得者の生活に配慮され、設定されています。

軽減特例の対象になる方の判定については、後期高齢者医療広域連合が行うため、被保険者から申請等を行う必要はありません。


・均等割額の保険料軽減特例
後期高齢者医療制度では、世帯の所得に応じて、均等割額の7割・5割・2割を軽減する仕組みがあります。世帯の所得が一定以下の場合は一律7割軽減となりますが、更なる特例措置として、世帯所得等に応じて均等割額の9割軽減、8.5割軽減とする場合もあります。

この特例措置によって、後期高齢者医療の保険料は、9割軽減を受けている方で全国平均月額380円、8.5割軽減を受けている方で570円となっています。


・所得割額の保険料軽減特例
所得割額の賦課対象者のうち、世帯の所得が一定以下の場合は、特例として5割軽減とする仕組みが設けてられています。


保険料の納め方

後期高齢者医療の保険料の支払いについては、原則、年金額を年額185万円以上受給している方は、年金受給額から天引きにて支払う「特別徴収」となります。

年金額が年額18万円未満の方や介護保険料を合わせた保険料額が、年金額の2分の1を超える場合については、納付所や口座振替等で支払いを行う「普通徴収」の対象となります。7月から翌3月までの9期に分けて、支払いを行っていく必要があります。



後期高齢者医療制度は、75歳以上のご高齢者や障害を抱える方が安心して医療を受けるための制度です。上手に活用して安心した生活を営みましょう。
わからないことや不安なことがありましたら、行政窓口である広域連合、または、お住まいの市区町村に相談してみてください。

ライター:井上歳行
特別養護老人ホーム責任者、居宅介護支援事業所の管理者を経て、現在、介護コンサルタントに取り組んでいます。 主任介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士を取得しています。
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