平成30年(2018年)に何が変わる?ご利用者様に関わる介護保険法改正のポイント

2017/08/02

改正介護保険法が、平成29年(2017年)5月に成立しました。今回の改正では、サービス利用者(一部)の3割負担や新サービス創設などお客様にも大きく影響する内容となっています。今回は、介護保険改正に至るまでの経緯と平成29年介護保険法改正のポイントを解説します。

介護保険制度改正の経緯とは

介護保険制度改正の経緯とは


介護保険制度は平成12年(2000年)にスタートし、介護保険法は平成17、20、23、26、 29年と3年ごとに改正されてきました。

現在の日本においては、年金や医療、介護といった社会保障給付費が過去最高を更新し続けているのが現状です。平成37年(2025年)には団塊の世代が75歳以上となり、介護や医療のニーズがさらに高まることが予想されます。さらに厚生労働省のデータによると、認知症のご高齢者や世帯主が65歳以上の単独世帯・夫婦のみの世帯も増加していく見通しです。そのため、増え続ける社会保障給付費を抑える観点で改正案が検討されています。

利用者に関わる主な改正ポイント

利用者に関わる主な改正ポイント


今回の介護保険制度改正で、ご利用者様に関する内容はどう変わるのかを下記に解説していきます。

自己負担額の見直し

・3割負担の導入
世代間等の公平性を保ち、介護保険制度を持続させていくという観点から、一部のサービス利用者の自己負担を2割から3割に引き上げることになりました。ただし、月額44,000円の負担上限が設定されています。【平成30年(2018年)8月~】

介護保険サービスの自己負担は、介護保険制度スタートから15年間は原則1割でした。しかし前回の改正平成26年(2014年)で、一定以上の所得のある人は2割負担となりました。今改正では、さらに2割負担の人のうち「特に所得の高い層」の負担割合が3割となります。「特に所得の高い層」の具体的な基準はまだ示されていませんが、現時点で想定されているのは、合計所得金額(給与収入や事業収入等から給与所得控除や必要経費を控除した額)220万円以上の人です。これは、単身世帯で年金収入+その他の所得ベースが340万円以上(年金収入のみの場合は344万円以上)に相当します。なお夫婦世帯の場合は、463万円以上となります。厚生労働省の試算によると、3割負担となる対象者数はおよそ12万人(利用者全体の3%ほど)でした。

・所得段階が「一般」の人の自己負担限度額の引き上げ
3割負担導入に先がけて、所得区分「一般」の高額介護サービス費の自己負担上限(月額)が引き上げられます。【平成29年(2017年)8月~】

介護サービスの利用者負担には月々の上限額が設定されています。「高額介護サービス費」とは、1か月に支払った利用者負担の合計が上限を超えた場合に超えた分が払い戻される制度です。現行では、世帯のどなたかが市区町村民税を課税されている人(一般)の負担上限は月37,200 円です。これが、医療保険並みの月44,400 円に変わります。ただし1割負担の人のみ世帯は年間上限額 446,400 円(37,200 円×12 ヶ月)が設けられており、年間を通しての負担額が増えないように配慮されています。(3年間の時限措置)

福祉用具貸与価格の見直し

現行の福祉用具貸与については、同じ商品であっても貸与を行う業者によって価格に差があるのが実情です。これは、業者によって仕入れ価格や点検費用などが異なるために起こります。今改正ではこうした貸与価格の見直しを行い、利用者が適正な価格でサービスを受けられるようにします。【平成30年(2018年)10月~】

具体的には、国が商品ごとに全国平均の貸与価格を公表する予定です。レンタル業者が福祉用具を貸与するときは、この全国平均貸与価格と業者の設定価格の両方を提示して利用者に説明することになります。また、機能や価格帯が異なる商品については、複数を提示することになります。【複数商品提示は平成30年(2018年)4月~】

さらに商品ごとに貸与価格の上限が設定されるなど、利用者が高額な費用請求をされないように配慮されているのが特徴です。

新しい介護保険施設「介護医療院」の創設

今後も要介護者の増加が懸念されるということは、慢性的な医療や介護ニーズが増えることにも繋がります。こうしたニーズに対応できる新しい介護保険施設として、平成30年(2018年)4月に誕生するのが「介護医療院」です。これは、長期にわたって療養するための医療と、日常生活を送る上での介護を一体的に受けられる施設となります。

開設できる主体は、医療法人のほか、地方公共団体や社会福祉法人などの非営利法人等です。現在ある「介護療養病床」については、いずれ廃止することとされています。改正前は平成30年(2018年)3月末が廃止期限でしたが、今改正で6年延長されました。

新たに「共生型サービス」を位置づけ

平成30年(2018年)4月から、介護保険と障害福祉の両制度に新しく「共生型サービス」が位置づけられます。このサービスの目的は、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくすることです。現行では介護保険事業所が障害福祉サービスを提供する場合に、それぞれ指定基準を満たす必要がありました。そのため、たとえば障害福祉サービスを利用してきた方が高齢になり、介護保険サービスに移行する際には事業所を変えざるを得ない場合もありました。しかし、新たな「共生型サービス事業所」では、このような不便さの解消が期待されます。

想定されている対象サービスは「訪問介護(ホームヘルプサービス)」「通所介護(デイサービス)」「短期入所生活介護(ショートステイ)」などです。障害福祉サービス事業所等であれば、介護保険事業所の指定も受けやすくする特例を設けます(※逆も同じ)。ただし具体的な基準などは、平成30年度(2018年度)の介護報酬改定および障害福祉サービス等の報酬改定時に検討される予定です。



今回は平成29年介護保険改正のポイントについて解説しました。まだ議論が必要なものもあるため、今後の動向に注目していきましょう。

ライター:anco

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員の資格を保有。在宅や施設と、15年以上の介護職での経験を活かして、介護分野のライターをしています。

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