ご高齢者が食べやすい食事とは?栄養たっぷりでおいしい介護食
2016/06/01
健康で豊かな毎日を送るために欠かせない食事。特にご高齢の方にとって「おいしく食べる」ことは大きな喜びであり、認知症や寝たきりを予防するためにも「しっかり噛む」ことが大切です。
そこで今回はご高齢者の心身の特徴や食べやすい食事づくりのポイント、より楽しく食べるためのヒントなどをお伝えしていきます。
ご高齢者の身体的特徴と食生活への影響

加齢による身体の変化を理解しましょう
加齢とともに噛む力や飲み込む力は弱くなっていきます。消化吸収能力の低下や味覚などの衰えによって、食欲不振にも陥りがちです。また、加齢やストレス、薬の副作用などによって唾液が減少し、食事がとりにくくなることがあります。
さまざまな原因で食事がうまくとれずに低栄養状態になってしまうと、骨量や筋肉量、筋力の低下などが起こります。さらに免疫力や体力、認知機能の低下によって病気にかかりやすくなり、骨折や寝たきり状態になる危険も高まるため注意が必要です。
介護予防にもつながるお口の健康維持
「しっかり噛んで食べる」ことで脳や身体が活性化されるため、認知症や寝たきりの予防にもつながります。
しかし、ご高齢の方は「歯が抜けてよく噛めない」「入れ歯が合わなくて痛い」などお口のトラブルを抱えていることが多いものです。また、加齢による唾液分泌の減少で口腔内が不衛生になり、お口の中の細菌が多くなりがちです。お口の中の細菌を含んだ食べ物などが誤って気管に入ると、「誤嚥(ごえん)性肺炎」を引き起こすことがあります。
おいしい食事を楽しむためには、お口の健康維持も欠かせません。お口のトラブル予防のために定期的な歯科検診を受け、うがいや歯磨き、入れ歯のお手入れなど「口腔ケア」を心がけましょう。簡単にできる「お口の体操」や「唾液腺マッサージ」も効果的です。
ご高齢者が食べやすい食事づくりのポイント

ご高齢者が食べやすい食品と食べにくい食品
ご高齢者が食べやすい食品
- ● 軟らかい「ミンチ状」のもの
- ● バナナなどお口の中で「まとまりやすい」もの
- ● トロミのある「おかゆ状」、ツルンとした「ゼリー状」のもの
ご高齢者が食べにくい食品
- ● ゴボウなど「繊維が多い」もの
- ● パンなど「パサパサした」もの
- ● 海苔など「口に張り付く」もの
- ● サラサラした水分や酸味の強いレモンなど「むせやすい」もの
- ● お茶漬けなど「液体と固体が混ざっている」もの
食べやすくするためのひと工夫
ご高齢者にも食べやすくするために工夫することが出来ます。
- ● リンゴやジャガイモなど硬いものは、すりおろして調理する。
- ● 繊維が多い野菜などは隠し包丁を入れてから、軟らかくなるまで火を通す。
- ● 肉・魚介など繊維や筋が多いものは、切る、叩く。または、すり身にして「つみれ」などにする。
- ● 食材を一度ゆでてから炒める、食材を一度焼いてから煮込むなどひと手間をかける。
- ● 圧力鍋を活用する。(短時間で調理できるうえにガス代の節約にもなって一石二鳥です。)
- ● 卵・ヨーグルト・マヨネーズなどトロミのある食材を上手に使う。
- ● パサパサ、ポロポロした食感のもの、サラサラしたお茶やジュースは、片栗粉やゼラチンなどでトロミをつける。
さらにおいしく味わえる雰囲気づくり

五感に響く料理を心豊かに味わうために
味や栄養バランスはもちろん、食事は目でもおいしく味わうことが大切です。食材の色や形、盛り付け、器などにこだわって、見た目にも美しく仕上げましょう。さまざまな色の食材を取り入れることで、自然に栄養バランスが整うこともメリットです。旬の食材で季節を感じたり、イベントに合わせたメニューを楽しんだりすることも、単調になりがちな毎日に良い刺激を与えます。
長年の食習慣がある場合は、医師の指導がない限り本人の嗜好をなるべく尊重してあげたいものです。特に食欲が落ちているときには、低栄養状態にならないように本人の好みを優先してあげるとよいでしょう。
食事をする時は、心地よい環境を整えることも大切です。適度な明るさの部屋でテレビなどは消すようにします。できるだけ家族や友人と一緒に食卓を囲み、会話をしながらゆっくりと食事を楽しめるようにしましょう。
あずみ苑がこだわる食事スタイルと楽しい環境
旬の食材を取り入れた豊富なメニューは、もちろん心を込めた手作りです。単に栄養を考えるだけではなく見た目にもこだわり、「食べる喜び」を存分に味わっていただくための工夫もしています。例としてお誕生日会の松花堂弁当をはじめ、お正月、節分など四季折々の行事にちなんだ「イベント食」もお客様に好評です。自然に笑顔がこぼれる和やかな雰囲気のなか、お仲間やスタッフと団らんしながらおいしく食事を味わっていただけます。
このように、ちょっとした配慮やひと工夫で、いつもの食事がさらに食べやすく豊かなものになります。栄養たっぷりのおいしい食事は、健康の維持はもちろん生きる活力となって充実した毎日につながるでしょう。
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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