ボランティアとは違うの?NPO法人(特定非営利活動法人)とは

「NPO」はニュースなどでよく耳にする言葉のひとつですが、「知っているようで知らない」という方も多いのではないでしょうか。今回は、NPO法人(特定非営利活動法人)の基礎知識や活動内容、ボランティアとの違いなどについてわかりやすくお伝えします。

NPO法人(特定非営利活動法人)とは

NPO法人(特定非営利活動法人)とは

NPOとは

NPOは「Non(非)Profit(利益) Organization(組織)」または「Not-for-Profit Organization」の略で、営利を目的としない「非営利組織」のことです。
市民が主体となり、福祉や保健、医療、教育、まちづくり、環境保全などさまざまな分野で社会貢献活動を行っています。

NPOの活動は、柔軟性や創造性などの強みを活かし、多様化する市民のニーズにきめ細かく対応できることが特長です。
こうした社会貢献活動は以前から市民団体などによって行われてきましたが、1995(平成7)年に発生した阪神・淡路大震災をきっかけに注目されるようになります。
そして1998(平成10)年には、活動の促進を図るためのNPO法(特定非営利活動促進法)が施行され、NPO団体の法人格の取得が可能になりました。


NPO法人とは

NPO法(特定非営利活動促進法)に基づいて法人格を取得したNPO団体のことを「NPO法人」といいます。
正式名称は「特定非営利活動法人」で、「認証NPO法人」といわれることもあります。

全国のNPO法人数は年々増加しており、2022(令和4)年10月末時点で、全国のNPO法人数は50,517団体となっています。

なお、NPO法人のうち一定の基準を満たすものとして所轄庁の認定を受けた法人は「認定NPO法人(認定特定非営利活動法人)」になることができます。



NPO法人(特定非営利活動法人)となるための要件

  • 1 特定非営利活動(※)を行うことを主たる目的とすること
    2 営利を目的としないものであること(利益を社員(会員)で分配しないこと)
    3 社員(会員)資格の取得や喪失に関して、不当な条件を付さないこと
    4 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
    5 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものではないこと
    6 特定の公職者(候補者含む)または政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
    7 暴力団でないこと。暴力団またはその構成員等の統制の下にある団体でないこと
    8 10人以上の社員(会員)を有すること

    ※ 特定非営利活動促進法において掲げられた保健医療、社会教育、まちづくりなど 20種類の分野に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの。(下記「NPO法人の活動内容」参照)


非営利とは

「非営利」というと「無償(お金をもらわない)」と誤解されることも多いようです。
NPOの「非営利」とは、利益を得ても団体の構成員に分配しないことをいいます。
企業の場合は利益を得て株主配当などを行いますが、NPOは利益が上がっても構成員に分配せず、事業(社会貢献活動)資金に充てることになります。

NPO法人の活動内容

NPO法人の活動内容

NPO法人が行っている「特定非営利活動」は、NPO法(特定非営利活動促進法)に掲げられている以下の20分野に限定されています。

  • ① 保健、医療又は福祉の増進を図る活動
    ② 社会教育の推進を図る活動
    ③ まちづくりの推進を図る活動
    ④ 観光の振興を図る活動
    ⑤ 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
    ⑥ 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
    ⑦ 環境の保全を図る活動
    ⑧ 災害救援活動
    ⑨ 地域安全活動
    ⑩ 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
    ⑪ 国際協力の活動
    ⑫ 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
    ⑬ 子どもの健全育成を図る活動
    ⑭ 情報化社会の発展を図る活動
    ⑮ 科学技術の振興を図る活動
    ⑯ 経済活動の活性化を図る活動
    ⑰ 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
    ⑱ 消費者の保護を図る活動
    ⑲ 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
    ⑳ 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

「ボランティア」や「NGO」との違い

「ボランティア」や「NGO」との違い

ボランティアとの違い

NPOと聞くと「ボランティア」をイメージする方もいるのではないでしょうか。
ボランティアとは一般的に、個人無償(またはそれに近い報酬)で活動することを指します。
NPOは継続的な活動を行う組織(団体)を指して使われ、その事業に関して対価を得る場合もあります。


NGOとの違い

NPOと似ている言葉に「NGO」があります。
NGOは「Non-Governmental Organization」の略で、「非政府組織」のことです。
NPOとほぼ同様の組織(団体)を示すといえますが、政府と比較するときには「NGO」と呼ばれ、日本ではよく国境を越えて活動する団体や環境分野の団体に用いられます。

社会のニーズが複雑化、多様化する中で、NPOの役割はますます重要視されています。
NPO活動に参加したい場合は、会員になるほかに、寄附することにより支援という形で参加する方法があります。関心をお持ちの方は、どのような団体があるのか検索してみてはいかがでしょうか。

▼関連リンク
内閣府「NPOホームページ」



ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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