どう変わる?平成30年度(2018年度)介護報酬改定のポイント

2018/02/28

平成30年(2018年)4月1日に、介護報酬が改定されます。今年の改定ではどのような点を重視しているのでしょうか。今回は、これまでの改定を振り返り、今後の動向にも着目しながら平成30年度介護報酬改定のポイントをお伝えします。

介護保険制度における「介護報酬」

介護保険制度における「介護報酬」

介護報酬とは

事業者がご利用者(要介護・要支援の方)に介護サービスを提供した場合に、その対価として事業者に支払われる報酬のことです。 介護報酬は、厚生労働大臣が社会保障審議会 (介護給付費分科会)の意見を聴いて定める公定価格です。

介護サービスの種類ごとに設定されており、基本報酬に加え、各事業所のサービス提供体制やご利用者の状況などに応じて加算・減算される仕組みです。

これまでの改定の状況

      
改定時期 改定にあたっての主な視点 改定率
平成15年度改定 ○ 自立支援の観点に立った居宅介護支援(ケアマネジメント)の確立
○ 自立支援を指向する在宅サービスの評価
○ 施設サービスの質の向上と適正化
▲2.3%
平成17年10月改定 ○ 居住費(滞在費)に関連する介護報酬の見直し
○ 食費に関連する介護報酬の見直し
○ 居住費(滞在費)及び食費に関連する運営基準等の見直し
平成18年度改定 ○ 中重度者への支援強化
○ 介護予防、リハビリテーションの推進
○ 地域包括ケア、認知症ケアの確立
○ サービスの質の向上
○ 医療と介護の機能分担・連携の明確化
▲0.5%[▲2.4%]
※[ ]は平成
17年10月改定
分を含む。
平成21年度改定 ○ 介護従事者の人材確保・処遇改善
○ 医療との連携や認知症ケアの充実
○ 効率的なサービスの提供や新たなサービスの検証
3.0%
平成24年度改定 ○ 在宅サービスの充実と施設の重点化
○ 自立支援型サービスの強化と重点化
○ 医療と介護の連携・機能分担
○ 介護人材の確保とサービスの質の評価
1.2%
平成26年度改定 ○ 消費税の引き上げ(8%)への対応
・ 基本単位数等の引き上げ
・ 区分支給限度基準額の引き上げ
0.63%
平成27年度改定 ○ 中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化
○ 介護人材確保対策の推進
○ サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築
▲2.27%
平成29年度改定 ○ 介護人材の処遇改善 1.14%
平成30年度改定 ○地域包括ケアシステムの推進
○自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
○多様な人材の確保と生産性の向上
○介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保
0.54%

出典:厚生労働省資料1 平成30年度介護報酬改定の主な事項(PDF:1,488KB)(介護報酬改定の改定率について)

平成27年度(2015年度)の介護報酬改定では、改定率が全体でマイナス2.27%でした。重点化した「中重度の要介護者・認知症高齢者への対応強化」についてはプラス0.56%、「介護職員の処遇改善」はプラス1.65%となり、それ以外がマイナス4.48%とされました。

平成29年度(2017年度)の期中改定では、「介護人材の処遇改善」について臨時にプラス1.14%の改定が行われました。

平成30年度(2018年度)は、0.54%のプラス改定です。今年の介護報酬改定は6年に1度の診療報酬との同時改定であり、医療と介護の連携や自立支援・重度化防止の推進などに重点を置いています。では、主な改定内容をみていきましょう。

平成30年度介護報酬改定の主な内容

平成30年度介護報酬改定の主な内容

平成30年度介護報酬改定では「団塊世代が75歳以上となる2025年に向けて、国民1人ひとりが状態に応じた適切なサービスを受けられるよう、質が高く効率的な介護の提供体制の整備を推進」することを掲げています。

地域包括ケアシステムの推進

地域の実情に応じて、できる限り住み慣れた地域で生活できるように、地域包括ケアシステム(どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを受けることができる体制)の構築を推進します。

①中重度の在宅要介護者や居住系サービス利用者、特別養護老人ホーム入所者の医療ニーズへの対応
・ターミナルケアの実施数が多い訪問看護事業所、看護職員を手厚く配置しているグループホーム、たんの吸引などを行う特定施設に対する評価を設ける。
・ターミナル期に頻回に利用者の状態変化の把握等を行い、主治の医師等や居宅サービス事業者へ情報提供するケアマネ事業所に対する評価を設ける。
・特養の配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間または深夜に施設を訪問し入所者の診療を行ったことに対する評価を設ける。
・特養内での看取りを進めるため、一定の医療提供体制を整えた特養内で、実際に利用者を看取った場合の評価を充実させる。

②医療・介護の役割分担と連携の一層の推進
・医療機関との連携により積極的に取り組むケアマネ事業所について、入退院時連携に関する評価を充実するとともに、新たな加算を創設する。
・訪問介護事業所等から伝達された利用者の口腔や服薬の状態等について、ケアマネから主治の医師等に必要な情報伝達を行うことを義務づける。
・リハビリテーションに関し、医療から介護への円滑移行を図るため、面積・人員等の要件を緩和するほか、リハビリテーション計画書の様式を互換性を持ったものにする。

③医療と介護の複合的ニーズに対応する「介護医療院」の創設
・現行の「療養機能強化型」と「転換老健」に相当する2つの類型を設ける。
・床面積要件や、併設の場合の人員基準の緩和、転換した場合の加算など、各種の転換支援・促進策を設ける。

④ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保
・ケアマネ事業所の管理者要件を見直し、主任ケアマネジャーであることを管理者の要件とする(一定の経過措置期間を設ける)。
・利用者は複数の事業所の紹介を求めることができる旨説明することを、ケアマネ事業所の義務とし、これに違反した場合は報酬を減額する。

⑤認知症の人への対応の強化
・看護職員を手厚く配置しているグループホームに対する評価を設ける。
・どのサービスでも認知症の方に適切なサービスが提供されるように、認知症高齢者への専門的なケアを評価する加算や、若年性認知症の方の受け入れを評価する加算について、現在加算が設けられていないサービス(ショートステイ・小多機・看多機・特定施設等)にも創設する。

⑥口腔衛生管理の充実と栄養改善の取組の推進
・各介護サービスにおける口腔衛生管理の充実や栄養改善の取組の推進を図る。

⑦地域共生社会の実現に向けた取組の推進
・障害福祉の指定を受けた事業所について、介護保険の訪問介護、通所介護、短期入所生活介護の指定を受ける場合の基準の特例を設ける。
・療養通所介護事業所の定員数を引き上げる。


自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現・充実

①リハビリテーションに関する医師の関与の強化
・リハビリテーションに関する医師の詳細な指示について、リハビリテーションのマネジメントに関する加算の要件とした上で、別途評価する。
・要支援者のリハビリテーションについて、要介護者のリハビリテーションに設けられている、リハビリテーションのマネジメントに関する加算を設ける。

②リハビリテーションにおけるアウトカム評価の拡充
・現在、介護予防通所リハビリテーションに設けられているアウトカム評価(事業所評価加算:要支援状態の維持・改善率を評価)を介護予防訪問リハビリテーションにも設ける。
・現在、通所リハビリテーションに設けられている生活行為の向上のためのリハビリテーションに関する加算(6月で目標を達成できない場合は減算)を、介護予防通所リハビリテーションにも設ける。

③外部のリハビリ専門職等との連携の推進を含む訪問介護等の自立支援・重度化防止の推進
・訪問介護、通所介護、特別養護老人ホーム等において、通所リハビリテーション事業所等のリハビリ専門職等と連携して作成した計画に基づく介護を評価する。
・訪問介護の身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化するとともに、身体介護に重点を置くなど、身体介護・生活援助の報酬にメリハリをつける。
・ 統計的に見て通常のケアプランとかけ離れた回数(※)の訪問介護(生活援助中心型)を位置付ける場合には、ケアマネジャーは市町村にケアプランを届け出ることとする。市町村は地域ケア会議の開催等により、届け出られたケアプランの検証を行い、必要に応じ、ケアマネジャーに対し、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、サービス内容の是正を促す。
( ※「全国平均利用回数+2標準偏差」を基準として平成30年4月に国が定め、10月から施行。)

④通所介護における心身機能の維持に係るアウトカム評価の導入
・通所介護事業所において、自立支援・重度化防止の観点から、一定期間内に当該事業所を利用した者のうち、ADL(日常生活動作)の維持または改善の度合いが一定の水準を超えた場合を新たに評価する。

⑤褥瘡の発生予防のための管理や排泄に介護を要する利用者への支援に対する評価の新設
・特別養護老人ホーム等の入所者の褥瘡(床ずれ)発生を予防するため、褥瘡の発生と関連の強い項目について、定期的な評価を実施し、その結果に基づき計画的に管理することに対し新たな評価を設ける。
・ 排泄障害等のため、排泄に介護を要する特別養護老人ホーム等の入所者に対し、多職種が協働して支援計画を作成し、その計画に基づき支援した場合の新たな評価を設ける。

⑥身体的拘束等の適正化の推進
・身体的拘束等の適正化を図るため、居住系サービス及び施設系サービスについて、身体的拘束等の適正化のための指針の整備や、身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会の定期的な開催などを義務づけるとともに、義務違反の施設の基本報酬を減額する。


多様な人材の確保と生産性の向上

①生活援助の担い手の拡大
・訪問介護について、介護福祉士等は身体介護を中心に担う(機能分化)とともに、生活援助については、人材確保の裾野を拡大するとともに、新研修を創設して質を担保する。

②介護ロボットの活用の促進
・特別養護老人ホーム等の夜勤について、業務の効率化等を図る観点から、見守り機器の導入により効果的に介護が提供できる場合に関する評価を設ける。

③定期巡回型サービスのオペレーターの専任要件の緩和
・定期巡回型サービスのオペレーターについて、夜間・早朝に認められている以下の事項を、日中についても認めることとする。
(ア) 利用者へのサービス提供に支障がない場合には、オペレーターと「随時訪問サービスを行う訪問介護員」及び指定訪問介護事業所、指定夜間対応型訪問介護事業所以外の「同一敷地内の事業所の職員」の兼務を認める。
(イ) 夜間・早朝と同様の事業所間の連携が図られているときは、オペレーターの集約を認める。

④ICTを活用したリハビリテーション会議への参加
・リハビリテーション会議(※)への医師の参加について、テレビ電話等を活用してもよいこととする。
(※関係者間でリハビリテーションの内容等について話し合うとともに、医師が利用者やその家族に対してその内容を説明する会議)

⑤地域密着型サービスの運営推進会議等の開催方法・開催頻度の見直し
・ 地域密着型サービスの運営推進会議等の効率化や、事業所間のネットワーク形成の促進等の観点から、以下の見直しを行う。
(ア)個人情報・プライバシーの保護等を条件に、現在認められていない複数の事業所での合同開催を認める。
(イ)定期巡回・随時対応型訪問介護看護の介護・医療連携推進会議の開催頻度について、他の宿泊を伴わないサービスに合わせて、年4回から年2回とする。


制度の安定性・持続可能性の確保

①福祉用具貸与の価格の上限設定等
・福祉用具貸与について、商品ごとの全国平均貸与価格の公表や、貸与価格の上限設定を行う(平成30年10月)。
・ 福祉用具専門相談員に対して、商品の特徴や貸与価格、当該商品の全国平均貸与価格を説明することや、機能や価格帯の異なる複数の商品を提示することを義務づける。

②集合住宅居住者への訪問介護等に関する減算及び区分支給限度基準額の計算方法の見直し等
・ 集合住宅居住者に関する訪問介護等の減算の対象を、有料老人ホーム等以外の建物にも拡大する。
・ 事業所と同一敷地内または隣接する敷地内に所在する建物について、当該建物に居住する利用者の人数が一定以上の場合は、減算幅を見直す。
・ 定期巡回サービス事業者は、正当な理由がある場合を除き、地域の利用者に対してもサービス提供を行わなければならないことを明確化する。
・ 集合住宅居住者の区分支給限度基準額を計算する際には、減算前の単位数を用いることとする。

③サービス提供内容を踏まえた訪問看護の報酬体系の見直し
・ 訪問看護ステーションからのリハビリ専門職の訪問について、看護職員との連携が確保できる仕組みを導入するとともに、基本サービス費を見直す。
・ 要支援者と要介護者に対する訪問看護については、サービスの提供内容が異なることから、基本サービス費に一定の差を設けることとする。

④通所介護の基本報酬のサービス提供時間区分の見直し等
・2時間ごとの設定としている基本報酬について、サービス提供時間の実態を踏まえて1時間ごとの設定に見直す。
・基本報酬について、介護事業経営実態調査による収支差率等の実態を踏まえた上で、規模ごとにメリハリをつけて見直す。

⑤長時間の通所リハビリの基本報酬の見直し
・3時間以上の通所リハビリテーションの基本報酬について、同じ時間、同等規模の事業所で通所介護を提供した場合の基本報酬との均衡を考慮しつつ見直す。

出典:厚生労働省資料1 平成30年度介護報酬改定の主な事項(PDF:1,488KB)(介護報酬改定の改定率について)

改定後の介護業界は?各サービス別の改定内容

改定後の介護業界は?各サービス別の改定内容

ここでは、「訪問介護」「通所介護」「居宅介護支援」の主な改定内容をみていきます。

訪問介護(ホームヘルプ)

◎サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化
サービス提供責任者のうち、「初任者研修課程修了者」と「旧2級課程修了者」は任用要件から廃止となります。(現在従事されている方については1年間の経過措置が設けられます。)

◎生活援助中心型の担い手の拡大
専門性を明確化・高度化し、機能分化(介護福祉士等は身体介護を中心に担う)を進めるとしています。
生活援助については、就業していない女性や中高年の方、若者などさまざまな人材の参入を進め、新たな研修課程も創設して介護人材の確保を目指すことになります。新研修のカリキュラムは、今年度中に具体的な内容が決まる予定です。

その他
◎生活機能向上連携加算の見直し
◎「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化
◎身体介護と生活援助の報酬
◎同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬
◎訪問回数の多い利用者への対応
◎共生型訪問介護
◎介護職員処遇改善加算の見直し


居宅介護支援(ケアマネジメント)

◎質の高いケアマネジメントの推進
人材育成のために、管理者が主任ケアマネジャーに限定されます。

◎公正中立なケアマネジメントの確保
ご利用者やご家族に対して「複数の事業所の紹介を求めること」や「当該事業所をケアプランに位置付けた理由を求めること」が可能であることの説明を義務化し、違反した場合は報酬が減額されます。

◎末期の悪性腫瘍の利用者に対するケアマネジメント
主治医等の助言を得ることを前提とし、サービス担当者会議の招集を不要とするなどケアマネジメントプロセスを簡素化します。また、ターミナルケアマネジメント加算が新設されます。

その他
◎基本報酬
◎医療と介護の連携の強化
◎訪問回数の多い利用者への対応
◎障害福祉制度の相談支援専門員との密接な連携


通所介護・地域密着型通所介護

◎生活機能向上連携加算の創設
通所介護事業所の職員と外部のリハビリテーション専門職が連携し、機能訓練のマネジメントをすることを評価します。

◎心身機能の維持に係るアウトカム評価の創設
自立支援・重度化防止の観点から、ADL維持等加算が新設されます。

◎機能訓練指導員の確保の促進
機能訓練指導員の対象資格に一定の実務経験を有する「はり師、きゅう師」が追加されます。

その他
◎栄養改善の取組の推進
◎基本報酬のサービス提供時間区分の見直し
◎規模ごとの基本報酬の見直し
◎運営推進会議の開催方法の緩和(地域密着型通所介護のみ)
◎設備に係る共用の明確化
◎共生型通所介護
◎介護職員処遇改善加算の見直し



*こちらの記事は平成30年2月現在の情報を元に執筆しています。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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