ご高齢者のニーズを把握するための「アセスメントシート」とは?

2018/01/17

介護福祉分野における「アセスメント」とは、ご高齢者のニーズ(解決すべき生活課題)や可能性を把握するために、さまざまな情報を収集・分析することです。今回は、ケアプランや介護計画書を作成する元となる「アセスメントシート」の役割と書き方、記入例をご紹介します。

アセスメントシートの役割

アセスメントシートの役割

アセスメント(事前評価・課題分析)は、ご高齢者の生活状況や心身状態、ご要望などを把握するために欠かせない重要な過程です。
アセスメントシートは様々な様式があり、ケアプラン(居宅サービス計画)の作成にあたるケアマネジャー(介護支援専門員)の他、実際に介護サービスを提供する介護事業所でも利用します。
必要な情報をもれなく収集できるアセスメントシートは、総合的な援助方針や適切な目標の設定に役立つ情報ツールです。また、ご高齢者の情報をご本人やご家族、他職種などと共有するツールとしての役割もあります。

アセスメントシートには、居宅サービス(デイサービスやショートステイ、有料老人ホーム等)に適しているもの、施設サービス(老人保健施設、特別養護老人ホーム等)に適しているものなどがあり、それぞれにメリットがあります。ご自分で使用するのに適した様式を利用しましょう。
※都道府県によっては、アセスメントシートの様式を指定している場合があるため注意が必要です。

なお、アセスメントシートは厚生労働省が指定する課題分析標準項目(23項目)を満たしていれば、介護者ご自身が作成することもできます。代表的な様式以外にチェックしたい項目があるような場合は、ご自身で作成するのも良いでしょう。


課題分析標準23項目と主な内容例は下記の通りです。

1 基本情報―氏名や性別、住所、電話番号など利用者の基本的な情報
2 生活状況―利用者の現在の生活状況や生活歴
3 利用者の被保険者情報―利用者の介護保険などの被保険者情報
4 現在利用している介護サービス等の状況
5 障害高齢者の日常生活自立度―ランクJ〜Cの日常生活自立度(寝たきり度)
6 認知症高齢者日常生活自立度―自立ランクⅠ〜Mの認知症の方の日常生活自立度
7 主訴(利用者やご家族の主な希望、要望)
8 認定情報―利用者の要介護度区分など認定結果の情報
9 課題分析(アセスメント)理由
10 健康状態―利用者の健康状態について記載
11 ADL(日常生活動作)に関する項目
12 IADL(手段的日常生活動作)に関する項目
13 認知―認知能力の程度に関する項目
14 コミュニケーション能力
15 社会との関わり―社会との関わりに関する項目
16 排尿・排便―排泄の頻度、ポータブルトイレ、おむつなどの使用状況の項目
17 褥瘡・皮膚の問題―褥瘡(じょくそう)、皮膚の清潔状況などの項目
18 口腔衛生―歯や口腔内の状態、衛生に関する項目
19 食事摂取―栄養、食事回数、水分量などに関する項目
20 問題行動―暴言暴行、徘徊(はいかい)などの行動に関する項目
21 介護力―介護者の有無や介護意思などの介護力に関する項目
22 居住環境―利用者の居住環境、住宅改修の必要性についての記載
23 特別な状況―介護者による虐待や終末期ケア(ターミナルケア)に関する項目


アセスメントシートの書き方

アセスメントシートの書き方

アセスメントシートは、他職種との連携をスムーズにするために、誰がみても理解できるように書く必要があります。

わかりやすい書き方とは

・5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を使用する ・ご本人の訴えに対しての問題点やリスク、解決しうる環境などについて明記する
・訪問や面談を通して入手した情報を客観的に記載する
・「息子の希望」ではなく「長男の希望」などと主語を明確にする
・略語を使用する際は広く認知されているもののみを使用する


ケアマネジャーが作成するアセスメントシートの記入例

ケアマネジャーが作成するアセスメントシートの記入例

Aさん 男性 脳梗塞後遺症による左片麻痺 障害高齢者自立度B1
認知症高齢者日常生活自立度Ⅱa

本人の主訴:杖を使って歩き、家の近くの友人宅に遊びに行きたい。
家族の希望:本人が疲れない程度にリハビリをしてもらい、自分でできることを増やしてもらいたい

ADL

移乗:麻痺側の足に装具を装着、健側の足で立ち上がり車椅子⇄ベッドなどの移乗可能。
移動:短距離は杖などを使用し歩行可能。リハビリ時は付き添いにて50m歩行可能。
   歩行時にフラツキもあるため、普段は安全のために車椅子移動している。
食事:健側の手で自力摂取可能、食べこぼしなく食べられる。(鯖アレルギーあり)
排泄:車椅子でトイレまで移動し、自力でされているも、間に合わず失禁してしまうことがある。
   紙パンツ+装着パット使用中。
入浴:週2回デイケア利用時入浴。シャワーチェアーにてリフト浴。
   洗身、洗髪ともに手の届く範囲は自力で洗える。背中や臀部などは介助が必要。
起き上がり:健側の手でベッド柵をもつことで可能。
立ち上がり:介助バーを使用することで可能。


家族環境:長男夫婦と同居中。長男夫婦ともに自営業のため朝の8時から夜の19時まで就労されている。

居住環境:自宅内は安全のため車椅子を利用し、不便なく移動可能。外出の際は玄関に段差があるため、介助者が支える必要がある。

社会環境:自宅から30mの距離に友人宅があり、70年ほどご近所づきあいしている。友人は現在就労していない。脳梗塞の後遺症のため左片麻痺になった本人を心配している様子。地域のボランティア等に見守りなどを依頼すると快く承諾してくださる。


このように情報をわかりやすく書くと、ご本人の「杖を使って歩き、近くの友人宅に遊びに行きたい」という希望を叶えていく上での問題点が浮かび上がり、解決策をみつけやすくなります。

問題点→ 歩行が不安定で、フラツキがある。玄関に段差があるため、一人で上り降りして外出することが難しい。家族が就労していて日中は自宅で一人のため見守る人間がいない。

解決策→ 歩行・バランス訓練を行い、歩行を安定させる。住宅改修で玄関の段差を解消する。ボランティアに付き添いをしてもらい、近くの友人宅に遊びに行く。

最後に

最後に

アセスメントシートは一度に情報を収集するのでなく、新たな情報が出てきた際に書き足して情報共有するとより良い介護につながります。お客様を詳しく知るために、また効率的なケアプラン作成のために、アセスメントシートをぜひ活用してみてください。



ライター:ken32

介護老人保健施設で介護職員として10年以上勤めました。
介護支援専門員の資格を取得し勤務を続けています。

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