「地域包括支援センター」ってどんなところ? その役割と業務内容

地域包括ケアの実現に向けた中核的機関として、すべての市町村に設置されている地域包括支援センター。ご高齢者の総合相談窓口として生まれましたが、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。今回は地域包括支援センターの役割や主な業務内容、利用方法などについて解説します。

「地域包括支援センター」とは

「地域包括支援センター」とは

2006(平成18)年の介護保険制度改正により、「地域住民の心身の健康の保持および生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上および福祉増進を包括的に支援することを目的とする施設」として地域包括支援センターが設置されました。

「地域包括支援センター」の役割

地域包括支援センターには、地域包括ケア(高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、包括的・継続的に支援すること)を実現するための中心的役割を果たすことが求められています。
具体的には、ご高齢者やご家族の相談をワンストップで受け止めて必要なサービスへつなぐことのほか、高齢者虐待への対応、介護予防ケアマネジメント、介護支援専門員(ケアマネジャー)へのサポートなどを行っています。


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「地域包括支援センター」の設置主体

「地域包括支援センター」の設置主体

出典:厚生労働省「地域包括支援センターの概要」


地域包括支援センターの設置主体は、市町村または市町村から委託を受けた法人(在宅介護支援センターの設置者・社会福祉法人・医療法人など)です。運営形態は、市町村直営が20%、委託型が80%となっています。
2022(令和4)年4月末時点で、全国に5,404か所(ブランチ・サブセンターを含めると7,409か所)の地域包括支援センターが設置されています。


「地域包括支援センター」の職員

保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)などの専門職が配置されています。

「地域包括支援センター」の主な業務

地域包括支援センターの主な業務は、包括支援事業介護予防支援事業です。


包括支援事業

  • ①第一号介護予防支援事業(介護予防ケアマネジメント)
    要支援・要介護状態になる可能性のある方に対する介護予防ケアプランの作成など

    ②総合相談支援事業
    住民の多種多様な相談を幅広く受け付けて、制度横断的な支援を行う

    ③権利擁護事業
    成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応など

    ④包括的・継続的ケアマネジメント事業
    ・「地域ケア会議」などを通じた自立支援型ケアマネジメントの支援
    ・介護支援専門員(ケアマネジャー)への日常的な個別指導や相談
    ・支援困難事例などへの指導や助言

介護予防支援事業

  • 要支援1または要支援2の認定を受けた方が、介護予防サービス等を適切に利用できるよう、ケアプランの作成、サービス事業所との連絡・調整などを行う

「地域包括支援センター」の利用方法

「地域包括支援センター」の利用方法

地域包括支援センターでは、「地域で利用できる施設や福祉サービスを知りたい」「介護に疲れてしまってどうしたらいいかわからない」「最近もの忘れが多くて困っている」といった介護・福祉・医療に関する相談を受け付けています。
また、「虐待を受けているかもしれない高齢者がいる」「成年後見制度について知りたい」「高価な品物を買うように勧められて契約してしまった」などの相談にも応じています。

ご高齢の方に関する悩みごと、困りごとがあるときは、おひとりで抱え込まず、早めに最寄りの地域包括支援センターに相談してみてください。
地域包括支援センターの問い合わせ先がわからない場合は、お住まいの市町村のホームページや介護保険担当窓口、厚生労働省の「全国の地域包括支援センターの一覧」などで確認することができます。

地域包括支援センターでは、ご本人だけでなく、ご家族やご友人、地域住民の方からの相談も受け付けています。匿名での相談・通報も可能です。相談の費用はかかりませんので、ご高齢者について気になることがあれば、地域包括支援センターを利用してみてはいかがでしょうか。

ライター:山下 優子
社会福祉士資格保有のライター。「介護」を中心とした福祉分野で、執筆活動を続けている。

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