ご高齢者の日常生活に必要な機能を維持・向上する機能訓練とは?

2017/11/28

通所介護(デイサービス)や介護保険施設などでは、ご高齢者が日常生活を営むのに必要な機能を維持・向上するための機能訓練が提供されています。今回は、ご高齢者の機能訓練の内容や個別機能訓練加算について解説します。

ご高齢者の機能訓練とは

ご高齢者の機能訓練とは

ご高齢者の機能訓練は、身体機能や生活機能の維持・向上を目的として行われるものです。個別機能訓練では、お客様お一人おひとりの心身状況などに合わせて、さまざまなプログラムを実施します。

ここでは、通所介護(デイサービス)における機能訓練について詳しく説明します。

機能訓練の対象となる方

要介護1以上の認定を受けた方が、機能訓練の対象となります。

「要介護認定」についてはこちらの記事をご覧ください。

要介護認定とは?介護保険の認定調査を受ける際のポイント   

機能訓練を行う職員

機能訓練指導員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員(看護師・准看護師)・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のいずれかの国家資格等を持つ職員)や介護職員などが実施します。

機能訓練の内容

◯「身体機能」の維持・向上を目的とした機能訓練
「歩けるようになりたい」「腕を上げられるようになりたい」などのご要望をお持ちのお客様に、歩行訓練や筋力増強訓練、関節可動域訓練などを行います。

◯「生活機能」の維持・向上を目的とした機能訓練
「一人でお風呂に入れるようになりたい」「週に1回、囲碁教室に行きたい」などのご要望をお持ちのお客様に、実践的な訓練を反復して行います。具体的な生活行為や社会的関係の維持に関わる行為などを目標に設定し、日常生活における生活機能の維持・向上を図ります。

ここで言う「生活機能」とは、国際生活機能分類(ICF)によるものです。構成要素は、以下の3つです。
①体の働きや精神の働きである「心身機能」
②ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」
③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」

「ADL・IADL」についてはこちらの記事をご覧ください。

介護予防のために知っておきたい!ご高齢者のADL(日常生活動作)    

個別機能訓練加算(Ⅰ) と加算(Ⅱ)の違い

個別機能訓練加算(Ⅰ) と加算(Ⅱ)の違い

個別機能訓練加算とは、通所介護(デイサービス)において所定の要件を満たし、ご利用者の状況に応じた個別機能訓練を行った場合に、算定される加算のことをいいます。ご利用者が住み慣れた地域で在宅生活が送れるように目標設定や計画を作成し、身体機能や生活能力の維持・向上を目指します。

通所介護(デイサービス)や通所リハビリテーション(デイケア)、介護保険施設などで個別機能訓練を行った場合は、「個別機能訓練加算」の算定が可能です。

個別機能訓練加算には、個別機能訓練加算(Ⅰ)個別機能訓練加算(Ⅱ)があります。加算(Ⅰ) と(Ⅱ)では、機能訓練指導員の配置や訓練内容、訓練の実施者などが異なります。

個別機能訓練加算(Ⅰ)

                        
単位数 1日につき46単位
機能訓練指導員の配置 常勤・専従1名以上配置(時間帯を通じて配置
個別機能訓練計画 (利用者ごとに心身の状況に応じた上で)多職種共同で作成
機能訓練項目 利用者の自立支援日常生活の充実に資するよう複数種類の機能訓練項目
訓練の対象者 人数制限なし
訓練の実施者 制限なし(必ずしも機能訓練指導員が直接実施する必要はなく、機能訓練指導員の管理の下に別の従事者が実施した場合でも算定可)
実施回数 実施回数の定めはない

身体機能(座る・立つ・歩くなど)の向上を目指すことを中心に機能訓練を行っている場合は、個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定できます。

加算(Ⅰ)では、通所介護を行う時間帯を通じて、常勤・専従の機能訓練指導員(※)を1名以上配置することが必要です。訓練の対象となるお客様に人数制限はなく、実施回数の定めもありません。また、訓練を実施する職員に制限はなく、機能訓練指導員の管理の下に介護職員などが行うこともできます。

(※)機能訓練指導員とは?
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員(看護師・准看護師)・柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師のうち、いずれかの国家資格等を持つ職員です。

個別機能訓練加算(Ⅱ)

                        
単位数 1日につき56単位
機能訓練指導員の配置 専従1名以上配置(配置時間の定めはない
個別機能訓練計画 (利用者ごとに心身の状況を重視した上で)多職種共同で作成
機能訓練項目 利用者の生活機能向上を目的とする機能訓練項目(1人でお風呂に入る等といった生活機能の維持・向上に関する目標設定が必要)
訓練の対象者 5人程度以下の小集団または個別
訓練の実施者 機能訓練指導員が直接実施
実施回数 概ね週1回以上実施

生活機能(トイレに行く・自宅のお風呂に1人で入る・料理を作る・掃除や洗濯をするなど)の維持・向上を目的として機能訓練を行っている場合は、個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定できます。

加算(Ⅱ)では、専従の機能訓練指導員を1名以上配置することが必要ですが、配置時間の定めはありません。訓練の対象者となるお客様には、「5人程度以下の小集団または個別」という制限があり、実施回数は「概ね週1回以上」となっています。また、訓練は機能訓練指導員がお客様の心身状況に応じて直接行うことが必要です。

※機能訓練指導員が2名配置されている場合は、同一日に同一のお客様に対して両加算を算定することも可能です。

個別機能訓練の流れ

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個別機能訓練加算(Ⅰ)・(Ⅱ)に共通する実務の流れをご紹介します。

① お客様について理解を深める
機能訓練指導員等が、お客様の居宅を訪問し、居宅での生活状況(ADL・IADLなど)を確認します。また、医師からはお客様のこれまでの医療提供の状況について、介護支援専門員(ケアマネジャー)からは、居宅サービス計画に基づいてご本人やご家族の意向、総合的な支援方針、解決すべき課題、長期目標、短期目標、サービス内容などについて情報を得ます。


② お客様に合わせた計画の作成
把握したお客様のニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種協働でアセスメントとそれに基づく評価を行い、個別機能訓練計画を作成します。


③ お客様ご本人またはご家族への説明と同意
個別機能訓練計画の内容について、利用するご本人またはご家族に分かりやすく説明を行い、同意を得ます。その際に、個別機能訓練計画の写しを交付することとされています。


④ 個別機能訓練の実施
機能訓練指導員等が、個別機能訓練計画に沿って機能訓練を実施します。


⑤ 評価・訓練内容の見直し
機能訓練指導員等は3か月ごとに1回以上、お客様の居宅を訪問し、機能訓練の内容と個別機能訓練計画の進捗状況などを説明し、ご本人またはご家族の同意を得た上で訓練内容の見直し等を行うことが必要です。なお、お客様の心身の状態変化などにより、必要と認められる場合は速やかに見直すこととされています。
高齢化が進む日本では、単に長生きするだけでなく「健康寿命」を伸ばすことが重視されています。健康寿命をできるだけ長く保つことは、質の高い生活を送るためにも重要です。ご高齢者の自立支援や重度化防止につながる機能訓練の必要性は、今後ますます高まるでしょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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