増加している「老老介護」とは?知っておきたいサポート体制

2018/03/20

介護が必要なご高齢者数が増え続けるなかで、ご高齢者がご高齢者を介護する「老老介護」の問題が深刻化しています。「老老介護」は、誰もが当事者になりうる身近な社会問題のひとつです。今回は、増え続ける「老老介護」の現状や知っておきたいサポート体制についてお伝えしていきます。

「老老介護」とは

「老老介護」とは

いわゆる「老老介護」とは、ご高齢者の介護をご高齢者が行うことです。主に65歳以上のご高齢の夫婦や親子、兄弟などがそれぞれ介護者や被介護者となることを指します。

「老老介護」の現状

厚生労働省の「平成28年 国民生活基礎調査(数値は熊本県を除く)」によると、主な介護者は要介護者等と同居している人が 58.7 %と最も多くなっています。


要介護者等との続柄別主な介護者の構成割合.jpg

厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/05.pdf
※(Ⅳ介護の状況 図35 要介護者等との続柄別主な介護者の構成割合)を加工


要介護者等からみた主な介護者の続柄は、「配偶者」が 25.2 %で最多、「子」が 21.8 %、「子の配偶者」が 9.7 %でした。主な介護者の性別については、男性が 34.0 %、女性が 66.0 %で、女性がとりわけ多いことがわかります。

年齢についてみると、男性では 70.1%、女性では 69.9 %が60歳以上の方です。そのうち最も多かったのは「60~69 歳」で、 男性が 28.5%、女性が 33.1%でした。

同居の主な介護者と要介護者等の組み合わせをみると、「70~79歳」の要介護者等では「70~79歳」の方が介護している割合が48.4%、「80~89歳」の要介護者等では「50~59歳」の方が介護している割合が32.9%で最多となっています。また、「60 歳以上同士」「65 歳以上同士」「75 歳以上同士」の組み合わせも上昇傾向にあります。


要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合の年次推移.jpg

厚生労働省「平成28年 国民生活基礎調査http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/05.pdf
※(Ⅳ介護の状況 図 37 要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合の年次推移)を加工


介護者の介護時間

続いて、同居している主な介護者の介護時間を要介護度別にみていきましょう。
「要支援1~要介護2」の方は、「必要なときに手をかす程度」が多くなっています。しかし、「要介護3以上」の方では「ほとんど終日」が最多です。介護時間が「ほとんど終日」の介護者は、男性が約3割、女性が約7割となっています。続柄は、女性の「配偶者」が最も多く、次いで女性の「子」、男性の「配偶者」の順でした。


介護者の悩み・ストレスの状況

同居している主な介護者について、日常生活で悩みやストレスが「ある」と回答した方は 68.9%に上っています。
悩み・ストレスの原因をみると、男女ともに「家族の病気や介護」の割合が最も高く、「自分の病気や介護」「収入・家計・借金等」「家族との人間関係」と続きます。また、「自由にできる時間がない」「自分の仕事」なども、悩み・ストレスの原因となっているようです。

「老老介護」は、ご家族の「介護うつ」や自殺、ご高齢者の虐待などにつながる恐れがあります。最近聞かれるようになった「認認介護(認知症の方が認知症の方を介護するケース)」も「老老介護」から生じる問題のひとつです。
解決策としては、「介護保険制度」のほかに「育児・介護休業法(介護休業・介護休暇・短時間勤務等)」「成年後見制度」などを利用する方法があります。また、企業によってさまざまな「仕事と介護の両立支援制度」を整備している場合もあります。

「老老介護」が増えている要因

「老老介護」が増えている要因

高齢化の進展

日本の総人口、1億2,693万人のうち、3,459万人が65歳以上のご高齢者です。総人口が減少するなか、高齢化率(65歳以上の人口が占める割合)は27.3%となっています。(総務省「人口推計」平成28年10月1日確定値)
推計では今後も高齢化率は上昇し、とくに要介護リスクの高い75歳以上の方の増加が見込まれています。また、高齢化の進展に伴って認知症の方も増え続けており、2025年には、65歳以上のご高齢者の約5人に1人になるとの推計もあります。


平均寿命と健康寿命との差

平均寿命の延伸とともに健康寿命(日常生活に制限のない期間)も延びてはいます。しかし、平均寿命に比べて延びが小さく、平均寿命と健康寿命との間には、男性で9.02年、女性で12.4年の差があります(平成25年)。

平均寿命と健康寿命との差<

出典:平成29年版高齢社会白書(内閣府)http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_3.html


世帯構造の変化

65歳以上のご高齢者のいる世帯数は2372万4千世帯となっており、全世帯(5036万1千世帯)の47.1%を占めています(平成27年現在)。
昭和55年(1980年)は三世代世帯の割合が最も多く、全体の半数を占めていました。しかし、平成27年(2015年)ではご夫婦のみの世帯が約3割と最も多く、単独世帯と合わせると半数を超える状況です。

また、子供と同居する65歳以上のご高齢者も大幅に減少しています。昭和55年(1980年)には子供との同居率がほぼ7割でしたが、平成27年(2015年)は39.0%です。単独またはご夫婦のみの世帯については、56.9%まで増えています。(内閣府「平成29年版高齢社会白書」)

「老老介護」の対策

「老老介護」の対策

社会資源やサービスを利用する

介護保険サービス以外にも、各自治体や民間業者、ボランティア団体などによるサービスはたくさんあります。介護をしている方もレスパイトケア等を上手に活用し、無理なく介護を続けられるようにしましょう。また、心身の不調を感じたら早めに医療機関に相談しましょう。

他人に頼ることに抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、虐待や介護うつ、自殺などに至ってしまう前に誰かに相談することは大切です。外出が難しい場合は、電話で相談できる窓口もあります。
介護の悩みや心配ごとがあるときは一人で抱え込まず、まずは地域包括支援センターなどに連絡してみてください。地域包括支援センターでは、ご家族や友人、ご近所の方からのご高齢者に関する相談も受け付けています。

レスパイトケアについては、こちらの記事をご覧ください。

介護者の休息(レスパイトケア)について

健康寿命を延ばす

介護が必要になる主な原因は、「脳血管疾患(脳卒中)」「認知症」「高齢による衰弱」「骨折・転倒」などです。

高血圧・糖尿病等の予防や治療、毎日の食事管理などは、脳血管疾患(脳卒中)の予防につながります。認知症予防のためにも、生活習慣病を防ぐことは大切です。運動や食事などの生活習慣を改善し、脳を活発に使う生活を心がけましょう。また認知症は、早期発見・早期治療で進行を遅らせたり、症状を改善したりできる場合があります。衰弱や骨折・転倒の予防には、ロコモティブシンドローム(ロコモ、運動機器症候群)対策も重要です。

「老化」は誰にでも起こる変化ですが、元気なうちから介護予防に取り組み、平均寿命と健康寿命の差をできるだけ小さくしましょう。

健康寿命を延ばすための対策については、こちらの記事も参考にしてください。

寝たきりにならないために!健康寿命を伸ばそう!

健康寿命を延ばすために!ロコモティブシンドロームを予防しましょう

早めの対策が大切!無理なく楽しみながら認知症を予防しましょう



厚生労働省の調査結果をみると「老老介護」の世帯はかなりの数に上り、深刻さを増していることがわかります。また、主に介護をしている方が、日常生活でさまざまな悩みやストレスを抱えていることも浮き彫りになっています。在宅介護においては、介護される方はもちろん、介護する方もサポートする体制をさらに整える必要があるでしょう。

ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。
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