介護が必要なご高齢者の在宅生活を支える「居宅介護支援事業所」とは?

介護が必要な方ができるかぎり住み慣れたご自宅や地域で自立して暮らせるように支えるのが、居宅介護支援事業所です。介護サービスを提供する事業所や関係機関とも連携して、要介護の方やご家族の生活をサポートします。今回は、居宅介護支援事業所のサービス内容や地域包括支援センターとの違いなどを解説します。

居宅介護支援事業所とは

居宅介護支援事業所とは


居宅介護支援事業所とは、介護の専門家であるケアマネジャー(介護支援専門員)を配置している事業所のことです。ケアマネジャーは、介護が必要な方がご自宅で適切なサービスを利用できるように、ケアプラン(居宅サービス計画)を作成します。また、介護保険申請代行、介護サービス事業者や関係機関(医療機関・福祉機関など)との連絡・調整なども行います。

居宅介護支援(ケアマネジメント)の対象となるのは、介護保険で「要介護1~5」の認定を受けた方です。「居宅」には、ご自宅のほか、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅も含まれます。ケアプランの相談や作成にかかる費用は全額が介護保険で支払われるため、自己負担はありません。

なお、居宅介護支援事業所の指定は都道府県が行っていますが、2018(平成30)年4月には指定権限が市町村へ移譲されます。

居宅介護支援事業所のサービス内容

居宅介護支援事業所のサービス内容

介護や介護保険に関する相談受付

介護保険制度の内容や利用方法、申請手続きなどの相談を受け付けています。居宅介護支援事業所は、市区町村の窓口やお近くの地域包括支援センターなどで紹介してもらえます。居宅介護支援事業所に来所するほか、訪問や電話での相談も可能です。

要介護認定の申請や更新手続きの代行

介護保険サービスを利用するには、要介護(要支援)認定の申請が必要です。居宅介護支援事業所では、ご本人やご家族の代わりに、要介護認定の申請や更新の手続きを行っています。ご本人かご家族が市区町村の窓口や地域包括支援センター等に申請することも可能です。要介護認定にかかわる費用の負担はありません。

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ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成

要介護認定の通知を受け取ったら、ケアプラン(居宅サービス計画書)を作成します。ケアプランはご自身で作成することもできますが、専門知識が必要なためケアマネジャーに依頼することがほとんどです。
なお、ケアプランの作成は1か月ごとに必要になります。ケアマネジャーは定期的にご自宅を訪問し、ご希望や症状の変化に合わせてケアプランを作成します。

ケアプラン作成の流れ

①居宅介護支援事業所への連絡
まずは市区町村の窓口や地域包括支援センターで居宅介護支援事業所を紹介してもらい、事業所に連絡をします。

②ケアマネジャーの訪問・相談
居宅介護支援事業所のケアマネジャーがご自宅を訪問し、ご本人やご家族と面接します。ケアマネジャーは、サービスを利用される方の心身の状況や生活環境などから課題を見つけて分析します。ご本人とご家族は「どのような生活を送りたいか」などの希望も伝えましょう。

③ケアプラン原案の作成
ケアマネジャーのアドバイスをもとにサービスを選択します。そして、この選択を反映させたケアプランの原案を作成します。

④サービス担当者会議の開催
ケアプラン原案を検討するために、サービス担当者会議(ご本人やご家族・ケアマネジャー・サービス提供責任者などが集まって話し合う会議)が開かれます。

⑤正式なケアプランの作成
ケアプランの最終確認を行い、ご本人やご家族が同意して正式なケアプランを作成します。このケアプランに基づいて介護サービスの利用がスタートします。

介護サービス事業者や関係機関との連絡・調整

介護サービス事業者や地域の施設、医療機関、行政などへの連絡を行います。また、ケアプランに基づいたサービスが提供されているかを確認し、必要に応じて事業者との調整を行います。サービスについての要望や相談、苦情がある場合に対応するのも居宅介護支援事業所です。

地域包括支援センターとの違い

地域包括支援センターとの違い


地域包括支援センターでも、ご高齢者や介護に関する総合的な相談を受け付けています。

「居宅介護支援事業所」と「地域包括支援センター」の違いは、前者が要介護1以上の方を支援しているのに対して後者は地域住民を包括的に支援していることです。地域包括支援センターでは、地域のご高齢者の総合相談だけではなく、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防支援なども行っています。配置されている専門職は、保健師(または地域ケアの経験がある看護師)・社会福祉士・主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)です。

なお、要介護(要支援)認定で「要支援1・2」と認定された方のケアプラン(介護予防サービス計画書)は、原則として地域包括支援センターが作成します。地域包括支援センターの設置主体は市区町村です。 詳しくはお近くの市区町村にお問合せください。

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在宅サービスの基本は「訪問(ホームヘルプ等)」「通所(デイサービス等)」「宿泊(ショートステイ)」です。この3つに、介護環境を整えるための「福祉用具貸与(レンタル・購入)」などのサービスを組み合わせます。「介護保険はどうしたら利用できるの?」「ヘルパーに手伝ってほしい」「デイサービスを利用したい」など介護に関することは居宅介護支援事業所に相談してみましょう。

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ライター:樋口 くらら
家族の介護をきっかけに介護福祉士・社会福祉主事任用資格を取得。現在はライター。日々の暮らしに役立つ身近な情報をお伝えするべく、介護・医療・美容・カルチャーなど幅広いジャンルの記事を執筆中。

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